T-155 二人の叫び
世界「どうして・・・、何が間違ってたの。」
世界は泣き崩れている。
世界「私はただ、ゼルディアに死んでほしくなくて・・・。傷ついて欲しくなかっただけなの、なのになんで・・・。」
結衣「気持ちはわかります。」
同じ前世と今世の夫を持つ者同士、結衣は世界の肩を持つ。
結衣「男の子っていっつもそう、自分の大切なものを守るために戦いたいものなの。ね?」
聖夜「・・・・・・ごめんな。」
結衣「まったく・・・。結局みんな、素直になれないだけじゃないのかな。」
結衣「ゼルディア・・・・・・。」
戦いの中で傷つくゼルディアを見ながら世界は立ち上がった。
世界「私、行ってくる。」
その眼から涙は収まり、決意に満ちていた。
結衣「行きましょうセカイ、戦いはもうすぐ決着がつくから・・・。」
戦いはさらに加速していく。
極夜の剣はゼルディアに撃ち負け、刃こぼれが目立つ。
既に体はボロボロで骨もいたるところが折れ、出血が絶えない。
一方のゼルディアも再生により体力が削られ、出血も激しい。
どちらが倒れてもおかしくない状況だ。
ゼルディア「いい加減倒れろ!!」
重い拳が極夜の腹に命中する。
極夜「げぼっっっ!!まだだ、まだいける!!」
吐しゃ物を吐き散らしながらも極夜は剣を構える。
確実にゼルディアにダメージを負わせていた。
創造の力は絶対じゃない。
だからこそ、慎重に使うのだ。
極夜「時刻ミノ右腕!!」
ゼルディア「ぐっ、やるじゃねぇかガキ!!」
血が水たまりを作り、月の光を反射する。
その時、戦場に二人の女性が近づいてきた。
世界と結衣だ。
ゼルディア「なんで来たんだ・・・。」
極夜「母さん?」
二人は戦いの手を止めず、その存在に気が付いた。
結衣「極夜!!」
世界「ゼルディア!!」
二人は大きく息を吸い込み、涙に滲んだ目を見開き叫んだ。
結衣「負けないで!!!!」
世界「もう辞めて!!!!」
二人の叫びが二人に届いた。
結衣の息子への激励が、世界の暴走した最愛の人を止める声が。
ゼルディア「・・・セカイ・・・・・・・・・。」
極夜「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
極夜の一撃がゼルディアに向く。
ゼルディア「俺はもう・・・もうお前とは・・・・・・。」
いっしょにいられない。
その言葉を言えず、口をふさいだ。
言ってしまえば、ゼルディアはもう立ち直れない。
極夜は母の激励を聞き、その応援を無下にするもんかと剣を振り下ろした。
極夜「零式!!」
極夜の剣が月夜を吸い込み、どこまでも黒く染まる。
極夜「≪歪神≫!!!!」
ザン!!!!!!
世界の法則を捻じ曲げる一太刀がゼルディアを裂いた。
ゼルディアがセカイの言葉を聞き油断したのか、極夜が母の激励を力に変えたのか、それはわからない。
だが、ゼルディアの裂かれた胸は再生しない。
再生の限界が来てしまった。
しかし、倒れない。
ゼルディア「まだだ・・・・・・まだ!!まだ戦える!!俺は・・・・・・。」
俺は・・・、何をしているんだ・・・・・・。
次回、ゼルディア VS 神成極夜
明日、2月3日19時決着です。
文字数も3倍近く多くなっています。




