T-154 最後の戦い
極夜は歯を食いしばる。
極夜「君のお父さんの覚悟、感じたよね。」
極夜は自分の中に眠るもう一つの記憶に語り掛ける。
その記憶は哀しそうに、だが前を向いて極夜に力を貸した。
魔術師「ごめんね、僕のせいで君を臆病者にしてしまった・・・。」
極夜「いいんだ、君の気持は痛いほどわかる。」
魔術師「でも、父さんの覚悟を捨てたくない。君の思いも無駄にしたくない。だから、力を貸すよ。」
極夜に再び創造の力が沸き上がる。
魔術師「君の手で父さんを倒し・・・・・・、そして世界の夜明けを迎えよう。」
極夜の剣が変形する。
二重の鞘から解き放たれた黒い刀身が月夜の光を浴びて綺麗に光る。
父である聖夜が作った人造神器、カラクリ。
星明りがゼルディアと極夜の戦いの舞台をより一層強調する。
極夜「行くぞ、ゼルディア。」
ゼルディア「来い、神成極夜!!」
刹那、激しい火花が散る。
亜光速まで加速した極夜をゼルディアが受け止めた。
ゼルディア「こんなもんか?」
極夜「いいや、まだだよ!!」
極夜はゼルディアの腕を振りほどき、サイド加速する。
ゼルディア「無駄だ、軌道を読めば簡単に防御できるんだよ!!」
ゼルディアは極夜の進行方向に手を伸ばす。
しかし、そこに極夜は居なかった。
背後から斬撃がゼルディアを襲う。
極夜「最初の一撃はあえて防御させたんだ。高速で突進してるって思わせるために。でも、今回は創造の力で自分を瞬間移動させてみたんだ!!」
ゼルディア「・・・・・・やるなガキ!!」
しかし、ゼルディアはまるでそれすらわかっていたように左腕をたたきつける。
未来の定められた不可避の打撃。
極夜「ぐぁぁぁぁぁ!!」
骨が折れ、身体がきしむ。
だが、極夜は立ち上がった。
極夜「絶対に・・・負けない!!僕が折れるわけにはいかない!!僕がみんなを守るんだ!!」
極夜の剣がゼルディアの右腕を切り裂く。
ゼルディア「そんな攻撃じゃ俺には届かねぇ!!」
極夜「だったら・・・。」
極夜の剣が突如視界から消えた。
その瞬間、ゼルディアの右腕は切断された。
ゼルディア「なんだと!?」
反応を感じない斬撃、まるで過去から送られたような不可視の斬撃。
極夜「想像さえすれば、僕でも使えるんだ。」
極夜はゼルディアのエクストラスキル【時刻ミノ右腕】を想像だけで再現したのだ。
極夜の斬撃がたまたま相性が良かっただけの偶然。
だが、それは希望の一手だった。
ゼルディア「ぐぬぅぅぅぅぅあぁぁぁ!!はぁ、はぁ・・・・・・、このガキがぁぁぁぁ!!」
ゼルディアは右腕を再生させる。
しかし、再生するために必要なエネルギーがないのか息切れしていた。
極夜「どうだ・・・、これで余裕がなくなって来たんじゃないか?」
ゼルディア「はっ、生意気なガキが。」
次回投稿は2月2日19時からです。




