T-145 ゼルディアの弱点
アマノガワ「聖夜くん、君のスキルには弱点がある。そうだよね?」
聖夜「ん?あぁ、俺のスキルは相手のスキルを強化してコピーする。ただし、対象は視線が通る者に限る。視線が途切れたらまた発動しなおし、対象は一つだけだ。」
アマノガワ「そう、エクストラスキルは力が強ければ強いほど、応用ができるほどその代償は大きくなる。僕の【永遠を喰らう者】は魔力を無限に回復する強さを持つけどそれ以上に応用はできないから代償はない。」
アマノガワはゼルディアを指さし笑う。
アマノガワ「ゼルディアのスキルは対象複数のコピー、当然応用は目の前にいる相手の分だけできる。つまり代償は必ずあるんだ。」
アマノガワはさらに続ける。
アマノガワ「最初ゼロちゃんが戦線離脱したときに思ったよ。ハジメくんの銃弾をなんで有限を喰らう者】で無効化しないのか。ゲッケイジュくんの【混沌を喰らう者】で反射しないのか。聖夜くんと同じで視線がさえぎられると使えないのかと思ったけど・・・、ハジメくんの最後の攻撃で理解したよ。」
アマノガワはかけてもいないメガネをクイっとあげて告げた。
アマノガワ「ゼルディアのコピー条件は『相手が戦闘対象かどうか』だ。ゼロちゃんは戦闘離脱、ゲッケイジュくんは戦闘を諦めかける、ハジメくんは敗北を認める。そのせいでコピーできなかったんだろ!!」
ゼルディアは何も答えない。
だが、どこか焦りを感じる。
アマノガワ「ゼルディアはさっきから個人を対象とした攻撃ではなく全員を狙う攻撃をしていた。それはつまり、一人ずつ潰したらコピー対象がいなくなるからなんじゃない?」
極夜「・・・・・・。」
聖夜「極夜・・・。」
極夜「僕のエクストラスキルがコピーされないのは僕が本当は戦いたくないって思ってるから?」
極夜の頭の中には先ほどからもう一つの人格が絶えず泣いていた。
それは前世の自分、ゼルディアの息子だった自分だ。
アマノガワ「極夜くんがそう思ってくれてるおかげでゼルディアが好き勝手出来ないのが幸運なところだ。」
ゼルディア「・・・代償がばれたところでなんだ。全員一気に殺せばそれで終わりだ。」
アマノガワ「それは残念ながらできないよ。」
アマノガワが皆に宣言する。
アマノガワ「みんな!!自分の最大火力をぶつけるんだ!!それでゼルディアが倒れなかったらその人の力は通用し無い、あきらめるしかないんだ!!」
アマノガワのネガティブな発言に皆は逆に笑いだす。
ミルド「くっくっく、確かにそうだな。」
ベルゼブブ「俺様の本気が通用し無かったら勝ち目がねぇもんな。うっかり負けを認めちまうかもな!!」
アレイスター「面白い戦い方だ、自分の最大火力が通じればゼルディアに大ダメージ、効かなければゼルディアの戦力を下げることができる。さすがですねアマノガワくん。」
ゼルディア「小癪な・・・、全員捻り潰してやる!!」
じり貧の消耗戦に一筋の光が見えた。
さぁ、勝つための負け戦を始めよう。




