T-138 師匠の背中
極夜は冷静に魔術を展開する。
ゼルディア「魔法陣?」
いくつもの魔法陣が展開され、魔術が展開される。
極夜「あんたが教えてくれたんだよ、魔術は何でもできるって。」
ゼルディアの視界から極夜が消える。
瞬間移動?透明化?
ゼルディアは魔力の痕跡を辿る。
だが、どこにもいない。
ゼルディア「つまんねぇ時間稼ぎか?」
ゼルディアがいくら探しても誰も見当たらない。
誰も見当たらない?
ゼルディア「あの二人のクソガキは・・・。」
オルルはともかく、ゲッケイジュの死体が消えていた。
背後から殺気を感じ取る。
ゼルディアが後ろを振り向くと、そこには剣を構えた極夜が立っていた。
その剣は異様に黒く、悍ましい。
全てを滅ぼす災厄、終焉の力が込められていた。
極夜の二人には殺したはずの二人が立って、極夜にスキルを発動している。
極夜「騙されたな、あの魔法陣はただのスクリーン。僕たちはその後ろに隠れてただけだ!!」
ゼルディア「くっ、クソガキが・・・・・・。」
オルル「終焉竜の再生力、なめんじゃないわよ!!」
月桂樹「お前の攻撃、効いたけど反射させてもらったよ!!」
ゼルディアの額の血管が浮き出る。
ゼルディア「クソガキどもに何ができる!!」
ゼルディアはムンドゥスを振りかざす。
物理法則を捻じ曲げる神の一撃。
月桂樹「この力の使い方、だんだんわかって来たよ。・・・・・・いまだ!!」
月桂樹は極夜に、先ほど反射した力の一部を発動する。
この局面でゲッケイジュは『反射した力をストックし、適時放出できる』使い方を学んだ。
オルル「私だって・・・、力になれるよ!!」
オルルは終焉の力を開放するエクストラスキルを、『他人に譲渡』する使い方を学んだ。
オルル「戦闘経験がない?悪いけど、あんたのその腕は一度倒したことあんのよ!!」
極夜の剣に終焉の力が注ぎ込まれる。
極夜「一零零式・・・・・・。」
極夜は彼の背中をずっと見てきた。
楽しいときも、辛いときも、彼はいつも極夜に剣を、心を教えてくれた。
ゼルディア「その構え・・・、貴様!!」
ゼルディアが恐怖した相手。
それは自分を完封した神成聖夜、そしてもう一人。
神でもないただの一般人、だが彼は神を一度殺した。
ゼルディア「隠者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
その様子をミルドは静かに見ていた。
ミルド「あのバカ弟子が、お前にはまだ早い技だというのに・・・・・・。」
しかし、ミルドはニコリと笑う。
ミルド「弟子の成長というのは、どこか寂しいな。」
極夜「王華繚乱!!」
終焉の力、反射の力。
親友と合わせた力、師匠の業。
百の斬撃がゼルディアを襲う。
終焉の力が傷を抉り、そこへ新たな斬撃が加わる。
ゼルディア「ガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ゼルディアの第六の羽がついに地面に落ちた。




