T-128 アマノガワの時間
アマノガワはガトリングをガチャンガチャンと調整する。
彼の持つ神器ミャミャシャンは唯一、停止した時間を移動できる特性を持つ。
アマノガワ「いっくぞ~。」
気の抜けた掛け声。
その瞬間、ゼルディアの体に無数の穴が開き、ガトリングから大量の薬莢が廃莢される。
アマノガワが声を発したとき、もうすでに攻撃は終わっている。
これが彼を最強たらしめる力【時間停止魔術】、アマノガワが解除するまですべての世界の時間が止まる。
しかし、欠点としてアマノガワは停止中の時間で体力も魔力も回復しない。
ガトリングが一瞬で赤熱し、オーバーヒートを起こす。
ゼルディアは空いた穴を金属で埋める。
生み出した魂を生贄に、さらに強大な兵器を召喚しそれで体を埋める。
ゼルディアは神の永久機関を生み出していた。
しかしそれをさせないのがアレイスターである。
アレイスター「私も、かつての力を使わせていただきましょう。」
アレイスターの体が視界から、いや世界から消える。
ゼルディア「!?」
アレイスター「おや、リサーチ不足ですか。勉強は大事ですよ。」
神すらも知覚できぬナニカ、アレイスターはどこへ消えたのか。
アレイスター「足元ですよ。」
アレイスターはメキメキと装甲を剥す。
アレイスターは別世界へと移動し、またこちらの世界へ帰ってきていたのだ。
圧倒的な演算、知覚を可能にするエクストラスキル【失楽園】。
世界を超えた別次元へ移動できるエクストラスキル【復楽園】。
ゼルディアは剥された装甲を変形させ、巨大なアサルトライフルを生成する。
ゼルディア「新たな力は扱いが難しい、だがこれくらいなら扱えるんだよ!!」
一糸乱れぬ射撃が二人を襲う。
アレイスター「アマノガワくん!!」
アマノガワ「もういるよ。」
時間を止めアレイスターの傍までやってきたアマノガワの手を握り別の次元へ転移する。
アマノガワ「今度は二人で一緒に、だね。」
アレイスター「えぇ、約束です。」
ガトリングの過熱が冷却された。
アマノガワ「さぁおしまいだよ、神様!!」
アレイスター「えぇ、私たちに神は二人もいらないんですよ!!」
アマノガワのエクストラスキル【永遠を喰らう者】が発動する。
無限に回復される魔力が神器へ宿り、青白い光を放つ。
ゼルディアは金属の装甲を纏うが、アレイスターの【楽園を喰らう者】で装甲を全て消されてしまう。
アレイスター「お前には妻を奪われ、王を奪われ、娘を傷つけられた。今度は私が奪う番だ!!」
時が止まる。
アマノガワだけの時間がやって来た。
アマノガワ「極夜の怒りを思い知れ!!」
アマハラだった記憶を受け継いだアマノガワの神器から、魔力の弾丸が発射される。
無限。
永遠とも呼べるほどの弾丸が降り注ぎ、ゼルディアを貫いていく。
アマノガワ「僕の時間はここで終わり、あとはみんなに任せるよ。」
時が動き出す。
残ったのは体中に穴が開き、倒れるゼルディアという結果だけ。
止まった時の中ではアマノガワ以外動くことはできないのだから。
第三の羽が地に落ちた。




