T-外伝 ゼルディアの聖夜
ゼルディアは聖夜になると毎回同じ場所へ足を運ぶ。
かつて仲間だった彼らと共に話したあの場所。
最愛の人を失った場所。
そして、ゼルディアが処刑された場所。
円卓と呼ばれたその場所はいまだに血が消えていない。
神の血が呪いとなってその場に残っているのだ。
ゼルセリオス「神よ、この場は記憶に悪影響。離れることを推奨します。」
神の左腕の忠告を無視し、ゼルディアは円卓の椅子に座る。
かつて神の座した七番目の椅子。
ゼルディア「くだらねぇ。」
ゼルディアはもう何も思い出さない。
思い出してしまったら、もう戻れない。
いままで奪った命を無駄にしてしまう。
償えない罪はある。
ゼルディア「・・・・・・、もうじきアイツが目覚める。次の俺が目覚める。」
ゼルディアは静かに円卓を離れた。
ゼルディア「どいつもこいつもくだらねぇ、全部俺が殺してやる。」
円卓は今やゼルディアの唯一の未練となった。
『もう一度、あの頃に戻りたい。』
そんな叶わぬ願いを胸にゼルディアは殺す。
殺して奪い、そして殺す。
彼の進む道はいつだって血で濡れている。
ゼルディアが暴走したとき、そこに少しの優しさがあれば何かが変わったのだろうか。
それはもう、誰もわからない。




