T-122 再開
扉から入って来た聖夜は剣を持ち直し、あたりを見回す。
そしてゼルディアを見つけると一言つぶやいた。
聖夜「よぉ、俺の前世。初代神王ゼルディア。」
ゼルディア「貴様・・・、なぜこの世に戻って来れた。」
聖夜「元凶はお前ってことでいいんだな。」
ゼルディア「貴様も相当強くなったみたいだな、取り込むのが楽しみだ。」
聖夜「話通じねぇのかよ、まぁお前に話が通じるとは思わねぇけどな。」
聖夜は再びあたりを見回す。
聖夜「お~いベルゼブブ、帰って来たぞ!!」
かつての仲間を呼ぶ。
しかし、返事はない。
聖夜「・・・・・・ミルド、ゼロ。お前らはいるか?」
返事はない。
聖夜「ハジメも正義もいないのか・・・?」
返事はない。
聖夜「アレイスターも・・・アマノガワも・・・、誰もいないのか。」
ゼルディア「くはははは!!全員もうこの世にはいない!!前世の記憶をよみがえらせ、従わぬものは皆この俺が殺した!!貴様の仲間はもう誰もいない!!」
聖夜「・・・・・・・・・・・・。」
聖夜を金色のオーラが包み込む。
近くにいた極夜も思わず恐怖で身震いする。
ゼルディアも笑うのを辞めた。
聖夜「俺がいない間にみんな逝っちまったのか、そうか。」
聖夜の周りに魔法陣が7つ浮かび上がる。
聖夜「なら、還ってこい。俺を一人にしないでくれ・・・、またみんなで集まろうぜお前ら!!」
聖夜の慟哭が響き渡る。
そして、魔法陣から人が現れた。
スケルトン、ゴーレム、悪魔、魔人、天使、人間が二人。
そう、聖夜のかつての仲間たちだ。
全員付けていた指輪が光り輝いている。
アマノガワ「体中が痛いよ~。」
ハジメ「腹がいてぇ・・・、槍かなんかで貫かれたみてぇだ。」
正義「俺も・・・、無限に落下する夢を見ていた気がする・・・。」
ゼロ「ここは・・・?私は・・・、なにを。」
ベルゼブブ「やっと目が覚めたかバカども。お前たちは前世の記憶に乗っ取られ、あろうことか聖夜にたてついたんだぜ?」
アレイスター「なるほど、この指輪に聖夜君の号令で復活する魔法が仕組まれてたんですね。」
かつての仲間たちがよみがえったのだ。
ミルド「あぁ、ようやくお目覚めになったのですね。」
聖夜「ミルド、極夜を守ってくれてありがとうな。覚えてくれててうれしいよ。」
ミルド「このミルド・・・・・・、片時も貴方のことを忘れたことはありません。もう・・・どこへもいなくならないでください・・・、我が主よ。」
ミルドは骸骨の体からボロボロと涙を流す。
聖夜「みんな、迷惑かけてすまなかったな。調子はどうだ?」
アマノガワ「最悪だよ。」
正義「あろうことか友に歯向かうなんてなんたる屈辱!!」
ハジメ「悪かった、自分が情けねぇよ。」
聖夜「操られてたんならしょうがねぇよ、それよりゼロはなんで遠くにいるんだ?」
みるとゼロは聖夜からかなり離れたところで隠れていた。
聖夜が近づくとゼロは泣きながら謝罪した。
ゼロ「ごめんなさい・・・、私はマスターの子供に、極夜君に歯向かい傷つけた・・・。私はもう、マスターの傍にいる資格はありません。」
泣きじゃくるゼロに聖夜は優しく話しかける。
聖夜「お前も操られてたんだ、仕方がないことだ。それに、お前の忠義を疑ったことはない。それでも自分を許せないって言うんなら罰としてゼルディアとの戦いでこき使ってやる。それでいいだろ?」
ゼロ「・・・・・・マスター。それでは・・・・・・それでは罰になりません。私にとってあなたのそばにいることが何よりの幸福なのですから。」
ゼロは聖夜に飛びつきまた泣き始める。
ベルゼブブ「おいずるいぞ!!俺様も聖夜と再会を分かち合いたい!!」
アレイスター「いいえ、ここは譲れません。次に抱き着くのは私です!!」
アマノガワ「醜い争いはやめな!!男に抱き着かれても聖夜は喜ばない、ここは僕が!!」
ベル&アレ「「お前も男だろ!!」」
ハジメ「どきな、再開を喜び合うのは。」
正義「俺達幼馴染が先だ!!」
ミルド「どけ痴れ者共、主に抱き着くのは私だ。ジャマするならば全員ここで切り殺す。」
聖夜「はぁ、まったく。・・・・・・しょうがねぇ奴らだな!!まとめてかかってこい!!」
聖夜もこらえていた涙を流しながら再開を喜び合った。
敵地でもこの感動は抑えられない。
それが、仲間だから。




