T-109 エクストラスキル
ゼルディアはそばに控えていた吊人を左腕に吸収し始めた。
「もういい、戯れはここまでにしてやるよ。」
Extra。
余分な、特別な、という意味がある。
なぜエクストラスキルという特異技術を持つ生物が生まれるか。
それは、有り余る力の結晶であり強者の証でもある。
それゆえエクストラスキルは通常人間には1つしか発現しない。
アレイスターなどの特殊な人間は二つ持つ。
目の前にいる神の持つエクストラスキルは3つだ。
ゼルディアの強大な力があふれて生まれたエクストラスキルは分離して二つの意思を持つ存在となった。
一人は審判、もう一人は吊人。
その二つが神のもとへ還ってしまった。
ここからが本当の神との戦いである。
「ここまで強くなるのに、一体どれだけの人間を吸収したのだ。」
ゼルディアは静かに、右腕で空を切り裂いた。
その衝撃で周りに貼られていたバリアが破壊された。
斬撃は的確にミルドを切り裂く。
ミルドは思わず膝をついて倒れこんでしまった。
「師匠!!」
「私に構うな!!今は死地だぞ!!」
ミルドの叫びに極夜は冷静になる。
「バリアは解いた、全員でかかって来いよ。」
戦える人物は現在、
極夜、【夜明けはもう来ない】異界から生物を召喚することができる。
オルル、【終焉を喰らう者】すべてを滅ぼす終焉の力を一部だけ引き出す。
ゲッケイジュ、【混沌を喰らう者】あらゆる事象を反射する。
ミルド、【頂を喰らう者】王がいる限り何度でも蘇る。
アレイスター、【楽園を喰らう者】物質をポイントに、ポイントを物質に変換する。
アマハラ、【永遠を喰らう者】魔力を永久的に循環回復する。
デスペラード、【理を喰らう者】複数の神器と契約でき、神器と融合できる。
ルドベキア、【不平等を喰らう者】相手からは干渉されず、概念さえも握りつぶす腕を召喚する。
ベルゼブブ、【魂を貪り喰らう者】相手を自分のホーム、地獄へ引きずり込む。
対する相手は、
ゼルディア
【世界を喰ら者】相手のエクストラスキルを奪う。
【時刻ミノ右腕】不明。
【罪滅ボシノ左腕】不明。
人数差でも力でも勝っているはず。
はずなのになぜか勝てるビジョンが浮かばない。
「さぁ、第二ラウンドだ。楽に死ねると思うなよ。」




