T-102 側近の実力
「パパッ!!!!」
オルルは最大限の力でアレイスターに抱き着く。
「グエッ!!ひ、久しぶりですオルル。元気にしていましたか?」
「さみしかったよ~会いたかったよ~。」
アレイスターの服が涙と鼻水でぐちょぐちょに汚れていく。
オルルは今まで溜まっていたものを全部吐き出すように泣き続けた。
「オルル、甘えるのはこの戦いが終わってからにしましょうか。」
アレイスターはオルルを引き離してミルドに渡す。
「緑の小僧か、元気にしてたか?」
「おかげさまで。」
アレイスターはメガネをクイッと持ち上げて相手に向き直る。」
「やあ久しぶり、アレイスター。」
「お前は天之川くんじゃない。気安く話しかけるな。」
相手は少しイラっとした表情でアレイスターに向き直る。
「そうさ、僕は【No.17】星。天之川 翔の前世の姿さ。君は?」
「私の名はアレイスター=カミナリ。生前は【No.5】教皇という名前でした。」
「教皇、ゼルディア様にたてつく愚か者だったが今世でも歯向かうか。」
そういったとたん、星の地面がせりあがる。
「なっ!?」
すぐさま時間を停止させ、回避は間に合った。
あのまま回避しなければ天井に押しつぶされていただろう。
「この世のものはすべてポイントでできたいる。木も、石も、鉄も、宝石も、すべて分解すればポイントになるんです。」
アレイスターが入って来た扉が槍のように変形し、星めがけて飛んでいく。
「私は物体をポイントに、ポイントを違う物体に変化させることができる。それが【全ては楽園に帰る】、私の能力です。」
「そんなバカげた能力!!この世に存在するわけが・・!!」
「現に私が使っています。」
星は逃げる。
必死に逃げる。
隆起する地面が槍に変形する。
当たれば串刺し、逃げれば袋小路。
「停止!!」
星は間一髪で時間を止める。
だがこの魔術自体は星のものではなく、あくまで天之川のもの。
止められる時間は無制限でもなく、クールタイムも長い。
「死ね!!」
星は持っていたナイフを思いっきりアレイスターに刺す。
だがそのナイフはカキンと音を立てて弾かれた。
「!?」
「おや、時間を止めたんですか?」
それと同時に時間停止が解除される。
「ガラスでできた壁です。いつ奇襲されてもいいようにね。」
アレイスターは星の首元をつかみ、そのまま勢いよく地面にたたきつける。
地面はもちろん能力で槍に変形している。
「がはっ!!」
星は腹を貫かれる。
「天之川くんの体だからといって躊躇するとでも?」
いつも不気味な笑顔のアレイスターから笑みが消えている。
「私の親友の姿で二度と現れるな。」




