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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第八章、神に至る塔
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T-99 依頼受け付け中

デスペラードは必死に金を集めた。


猫探しから雑草むしり、どぶ洗いから殺しまで。


ありとあらゆる方法で金を集めた。


幸いデスペラードには複数の神器と契約できる力がある。


最も効率のいい殺しを生業として傭兵として金を集めた。


そしてついにちょうど一か月で10億ルピアを稼ぎ切ったのだ。


「ちょうど10億稼いだ、早く母さんを開放してくれ。」


「たしかに計測した限り10億ある、だが君は何か勘違いしているようだね。」


「何?」


「この国には人に金を渡すとき、20%の贈与税という税金がかかるんだよ。だからこの10億から2奥が税金として持っていかれる。つまり今私に渡したのは8億ルピアだ。」


「ふ、ふざけるな!!そんなことがまかり通るわけないだろ!!」


「それに君が持ってくるとは思っていなかった、すでに一か月前にもう処刑は済んでいる。」


「は・・・・・・・?」


人間はすでにアリシアを殺していた。


じゃあ俺は一体何のために?


「信じられないか?魔女の死体なら博物館に剥製にして飾ってある。見に行ってみたらどうだ?」


その日、国が一つ地図から消えた。


生存者、3名

死者、推定4万人

行方不明者、推定1万人



数少ない生存者の証言によると『神の形をした得体のしれない何かを見た』らしい。


神器は人に使われるが時に人を飲み込む。


心が壊れた時、死を連想するほどの恐怖を体験したとき。


デスペラードは持っていた神器すべてに飲み込まれたのだ。


神器は神が使う道具であり、神に至る近道である。


デスペラードは剥製にされた母を抱きかかえる。


彼は神に近づきすぎた。


ゆえに罰が下ったのかもしれない。


剥製になったアリシアは固く、冷たかった。







暗闇の中で声が聞こえる。


俺を呼ぶ声が。


「デスペラード、もう朝よ。起きなさい。」


母の声だ。


これは夢だ。


母はもうこの世にいない。


「何言ってんの、私はここにいるじゃない。」


違う、これは夢だ。


「夢・・とはまた違うわね。ここはあなたの心の中。」


心の中か。


そうだ、俺はたしか母さんに魂にヒビを入れられて・・・。


いや、母さんはこんなことするような人じゃない。


だって母さんは俺の一番大切な人だから。


「よくわかってるじゃない。それにしても私のことそんな大切に思ってくれてるなんてお母さんうれしい!!」




アリシアはデスペラードの頭を優しくなでる。


「ごめんね、デスペラード。私は魔女として長い間人間から迫害されてきた。すこしでもさみしさを紛らわそうとしてあなたを生み出してしまったの。許してくれる?」


デスペラードはこくりと頷く。


「それとね、一つあなたにとってひどいお願いをしてもいい?」


アリシアはそっとデスペラードのおでこにキスをする。


「わたしを殺してくれない?」


デスペラードは少しの動揺の後、ニカっと笑った。


「それは依頼か?」


彼は傭兵だ。


依頼があれば受けるのが筋だ。


「報酬は生き返ってからでお願いね。」


デスペラードの意識が暗転する。


彼は魂にヒビが入った程度では死なない。


依頼があれば死んでも受ける。


「それが俺のやり方だ。」


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