T-91 3Fキッチン
白がグラグラと揺れ始める。
「この揺れ……、まるで世界の終わりのようだな。」
「もう時間が少ないってことですよね。早く行きましょう!!」
極夜は疲弊して倒れたオルルを背負って次の階へと向かっていく。
3F キッチン
例のごとくまた敵が立っている。
その男は身長をゆうに5mは越している赤いローブを来た大男。
手にはその身長を上回る鎌を持っている。
「きをつけて、あいつは神器持だ。」
「神器?」
「神器は神のために作られた神が扱うためだけの武器。並の武器じゃ歯が立たない。」
アマハラが丁寧に解説してくれる。
大男は鎌を軽く1周させる。
「我と闘う者はどいつだ。」
「なら私がいこう。」
前に出たのはルドベキア。
手につながっていた手錠をブチリと外した。
「面白い、魔力を持たぬ子か。」
「目の前の相手を侮辱するとは武人としてどうかと思いますよ。」
「侮辱では無い、魔力を持たぬ身体でここまで来れたのは貴様の鍛錬の成果だろう。」
バリアが貼られ誰も入れなくなる。
そして大男の目から鋭い殺気がルドベキアを襲う。
「だからこそ敬意を評し、我の最大限の力を持って貴様をねじ伏せてやろう。」
13mはあるであろう鎌がルドベキアを目掛けて飛んでいく。
しかし見切れぬ速さでは無い。
ルドベキアは上へ飛んで避けた。
「ふむ、我が最大限の力で鎌を振るったが避けられるか。」
返ってきた鎌をキャッチし、大男は何かを唱える。
すると大男の鎌からどす黒い何かがあふれでる。
言葉では形容しがたい、最大限の語彙力でそれを表すなら「死」だ。
「簡単に死なれては面白くない、絶対に避けるのだ。」
ブォンと風を斬る音と同時に鎌が大男を中心に円を書く。
ルドベキアは恐怖で動けない。
「で、【死は皆に平等だ】!!」
ルドベキアの背後から現れた腕が地面を殴り、その衝撃でルドベキアの体は浮かび上がり、避けることが出来た。
しかしその鎌にカスリでもした家具が全てサラサラと崩れ落ちた。
壊れたとかそういう次元では無い。
そう、死んでしまった。
「我が《即死魔術》を避けるか。」
即死魔術。
その名の通り触れたものは死ぬ。
それが人間でも植物でも無機物でも。
「貴様に改めて敬意を評そう。我が名は【No.13】死神。死を宣告する神なり。」




