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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第一章、全ては平等な世界のために
356/455

T-75 世界中全ての生物の幸せのために

「な、何を言ってるの?」


「クロユリ、エリカ、アザミ、スイレン、スカビオサ、ダチュラ、カルミア、アネモネ、シモツケ。」


ルドベキアは花の名前を言い始める。


「私の中に存在した友人たちだ、混沌に咲く花の創設者たち。私が致命傷を受ける度にみんなが私のために命を投げ出して庇ってくれた。」


ルドベキアの目はまだ絶望していない。


「私は【混沌を飾る者()】。10人で1人のルドベキア、もう1人加わって混沌に咲く花。」


ルドベキアは槍を素手で掴む。


ルドベキアの手から血がにじみ出る。


もう彼を庇うものは居ない、だからこそ負けて居られない。


「人々は私達の夢を混沌と呼ぶ。今まで魔力を持っているのが当たり前、それがない世界はありえない。だからその思想は混沌であり恐怖の対象であると。」


ルドベキアの背から生えたデスはルドベキアの頭を撫でる。


「だから私はあえてこう言おう、『間違っているのはお前たちだ』。」


デスがオルルの体を強く握る。


「うっ!!」


「差別のない世界を望むのになぜ否定されないといけない。」


「うぁぁぁっ!!」


デスが握りしめる力を強くする。


バキバキと骨が折れる音がする。


「私だけ手を汚せばいい、私以外の生物が幸せならそれでいい。」


「……間違ってるなんて……言えない。」


「?」


「あなたの考えを間違いとは言えないわ。」


「ようやく理解してくれたか。」


「だからといってその夢のために極夜を犠牲にするなんて許せない。」


「………。」


黒葬に勝手にバッテリーが入っていく。


『ブラックバッテリー……モー……ド・終焉(ファイナル)……セット』


槍がバチバチと音を立てて変形し始める。


より鋭く、より細く、より長く。


生物を絶命させるためだけの形へと変貌する。


「なにを?」


「終焉竜の力、その一割にも満たない小さな力よ。」


オルルは槍を投擲する構えに入る。


「悔しいけどあなたの方が正義よ、でも私はただ大切な人を守りたい!!」


槍が投擲された。


闇が全てを飲み込む。


おぞましく、禍々しい、部屋全体がそんな空気に飲み込まれた。


「無駄だ、デスは何者にも干渉されない。」


「そう……でもね、終焉(わたし)の力は全てを破壊する力よ!!」


デスの腕が引きちぎれる。


ブチブチと音を立ててデスは消滅した。


なにものにも干渉されないエクストラスキル【死は皆に平等だ(デスフォーエブリワン)】でも終焉竜の『全てを破壊する力】には叶わなかった。




「デス!!」


「終焉の力の方が強かったみたいね。」


腕から開放されたオルルは槍をルドベキアに向ける。


「……あなたも……、大切な人達を守りたかっただけなんだね。」


「…………来世では平等な世界を望むとします。」


「いや殺しなんてしないけど。」


「………………………………え?」


「なんか勝手に自己完結してるみたいだけど私人殺したりなんかしないから。それが終焉竜の力で亡くしてしまった私の罪の償い。」


「なんて甘い考え。」


でも、そんな甘さがいつか誰かを幸せにするんだとルドベキアはそう思いながら倒れ込んだ。







魔力の根絶を目的とする混沌に咲く花。


その教えが書かれたカオス・ノミコンには最初のページにこう書かれている。


『全ては平等な世界のために』


そして最後のページには、



『世界中全ての生物の幸せのために』


と書かれているそうだ。


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