T-71 猪突猛進
オルルは槍を握って走る。
「師匠、着きましたよ。」
「うむ、その建物の地下だ。やれやれ、悪役というのは地下が大好きだな。どこかの水色の男を見習えばよいのに。(天之川は地上500階の塔で聖夜と戦った)」
オルルは地上の警備を振り払い地下を無理やり通る。
どんどん地下へ降りていく。
「師匠、ここの人達なにかおかしいですよ。みんな同じ本を持っています。」
「本?」
「はい、なんだか君が悪いです。それにこの場所魔力を一切感じません。」
自然界の空気には少なからず微量の魔力が充満している。
魔術を使う際は自分の体内の魔力と空気中の魔力を使う。
しかしここには微量の魔力さえ感じない。
体内の魔力が多い人間にとってはここはまさに毒ガスのたまり場のような場所だろう。
しかしオルルはオルクジャナスと分離した時に魔力は全てオルクジャナスの方に持っていかれたためほんの少ししか魔力を持たない。
故に魔術は使えない。
地下へ進むにつれ警備が手薄になり、研究施設のような雰囲気になっている。
「なにかの研究所?師匠、この先ですか?」
「あ……ザザっ、まっすザザザッ。」
「師匠?」
通信が途絶えた。
魔力を使う通信機器だったからか動かなくなってしまった。
オルルは通信機器を投げ捨てる。
「途切れ途切れだったけど恐らく真っ直ぐって言ってた、ここか!!」
オルルは力強く目の前の扉を蹴とばす。
ガキーーーーン!!
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
扉は鋼鉄でできていたのか弾き返された。
オルルは足を抑えてゴロゴロ転がる。
「……隣にスイッチがあるだろう。」
その様子を見ていたのか扉の先から声が聞こえてきた。
「随分余裕ね、敵に塩を送るなんて。」
オルルは扉横のボタンを押して部屋に駆け込む。
扉の先にはなにかの液体や煙を吹き出す機械でいっぱいの研究室だった。
オルルが部屋に入った瞬間扉がガシャンと音を立てて閉じる。
「残念、その扉一方通行なんだ。」
「だ、騙したわね!!」
オルルは地団駄を踏んで怒る。
「敵の施設に入り込んで言うことを聞くなんておばかちゃんにもほどがあるね。」
「!!!!!!!」
オルルは顔を真っ赤にして怒る。
「それと残念ながらこの部屋はハズレだね、神成極夜くんは右の通路を行った先の扉だ。」
「どうせそれも嘘なんでしょ。」
「うん、嘘だよ。」
「んんんんんんんんんんん!!!!」
「ふふふっ、なかなか面白い反応するね終焉竜の片割れ。」
「……なぜそのことを知ってるの?」
オルルは槍を構えた。




