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世界のためなら何度でも  作者: 社長
終焉の章、悪夢再び
350/455

T-69 神成聖夜

極夜はノック音に気づいた。


倒れた極夜の後ろに人一人分入るような門があった。


無意識にエクストラスキルが発動したのか。


「誰でもいい……どんな生物でもいい…………。お願いします、助けてください……………。」


少年は初めて絶望し、弱音を吐いた。


みっともない、情けない、それでもこの世界を守りたい。


そんな気持ちが扉の前の()()に届いた。


扉が蹴破られる。


「よく……耐えたな。」


その誰かは極夜を優しく抱き起こした。


既に極夜の呼吸は止まっていた。


死の直前、扉を出すために全てを使ったのだ。


「全くいい息子を持ったな、父さん誇らしいぞ。」


その誰かはなにかの魔術をかける。


すると極夜は息を吹き返した。


「うぐっ、ゲホッゲホッ!!」


極夜はその誰かと対面する。


自分に似た顔立ち、優しい声。


初めて出会った人、しかし極夜は魂で感じていた。


この人が自分の父親、神成聖夜であることに。


「父さん……なの?」


「無理して喋るな、生き返ったばっかだぞ。」


そう言いながら聖夜は極夜に回復魔術をかけている。


その膨大な量の回復魔術ですぐに極夜は元気を取り戻した。


「ごめんな、衰弱死だったから蘇生できたけどどうやらあのレーザーで受けた傷は再生しないらしい、だから左腕は無くなったままだ。」


「そんなことどうでもいいよ!!それよりなんで父さんがここにいるの?終焉竜と一緒に封印されてたんじゃ………。」


「ん?お前が呼んだんだろ、えーっと名前は?」


「極夜、神成極夜だよ。」


「極夜か………いい名前だな、きっと母さんがつけてくれたんだろ。」


聖夜は極夜の頭を撫でる。


その後ろでオルクジャナスが黒い光をさらに大きくしていた。


「そうだオルクジャナス!!こんな悠長に時間潰してる場合じゃないよ父さん!!オルクジャナスがこの星を滅ぼそうとしてるんだよ!」


「ん?あぁじゃあまずあいつを仕留めるか。」


そう言って聖夜は丸腰でオルクジャナスに向かっていく。


「弱体化したお前なんて張合いないぞ。」


そう言って聖夜は手をオルクジャナスに向ける。


「神属性魔術、神の伊吹(ゴッドブレス)


神聖な矢が生まれる。


その矢はゆっくりとオルクジャナスのクリスタルへ向い、そして貫いた。


オルクジャナスは力の源であるクリスタルを破壊され、倒れる。


虫の息のオルクジャナスのそばに聖夜は近寄る。


「すまない。」


オルクジャナスは呆れたように龍の言語で話し始める。


『あと少し・・・、あと少しでみんなのところへ・・・・・・。』


聖夜はオルクジャナスに手を合わせる。


「お前とはお前の全盛期に戦いたかったよ。」


『次は・・・必ず・・・・・・。』


終焉竜は息絶えた。


最強の生物であり、いくつもの星を絶滅させてきた終わりの権化、終焉竜オルクジャナスは今ここに倒された。


この星の滅亡は拒まれた。


それと同時に聖夜の体が光の粒子になっていく。


エクストラスキルの時間切れだ。


「なんで!?オルクジャナスが死んだんだから父さんの封印は解かれるんじゃ!!」


「あぁ、俺が戻るだけで俺はまた封印されるだろうな。」


そんな訳の分からないことを言う聖夜はもうほとんど姿が見えない。


「な、何言ってるの?全然意味が分からないよ!!」


最後に聖夜は極夜の手を握る。


「ごめんな、もっと一緒にいたいがひとまずお別れだ。ここから先は俺の口では言えないんだ。またな極夜、また必ず会おう。」


そう言って聖夜はキラキラと星のようになって消えていった。


最後に極夜の手を握ったのは愛情もあったがそれと別に手紙を手渡した。


極夜はその手紙をよく読んだあと、右手だけでビリビリに引き裂いた。


「わかったよ、父さん。」


極夜は誓った。


もう泣かない、弱音も吐かない、絶望しない。


「ここからは僕の物語だ。」


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