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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第七章、恩人へ安らかな終焉を
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T-62 ありがとう

アレイスターは走る。


娘であるオルルを抱えてひたすら遠くに走る。


「あいつらなら必ずおってくる。その前にどこかにオルルを隠さないと!!」


走っている最中、オルルが目を開ける。


「パパ?」


「ん?どうしたんだい。」


「……、私を置いて逃げて。」


「…………、見えてたのか。」


「なんで私を庇ったの?あのままいけばパパは助かったんでしょ?」


「……………………。」


「私が居なくなるだけで良かったんでしょ。なのになんでパパが危険なことするの。」


「黙ってなさい。」


アレイスターは唇を噛み締める。


「今ならまだ間に合うよ。だから私を置いて逃げて。」


「黙れ!!」


「黙らない!!」


オルルは泣きながらアレイスターを突き放す。


その拍子にアレイスターは転倒する。


抱き抱えていたオルルも一緒に落ちる。


「もうやめようよ。なんでパパが危険なことするの、私は拾われたんでしょ。なのになんでこんなに大切にするの!!私みたいないらない子のためになんで危険なことするの!!」


「……………………娘だからに決まっているだろう!!」


アレイスターは涙を流す。


いつもの済ました作り笑顔とは違い、顔が崩れるほど泣いている。


「大切な娘だ、たった1人の娘だ、可愛い可愛い私の子供だ。自分の子供を大切にしない親なんてどこにいるんだ!!」


アレイスターはオルルを抱き抱える。


「パパぁ。」


オルルもアレイスターを力強く抱きしめる。



チクッ



そんな感動的な場面に異音がなった。


なにかが注射される音。


オルルの右腕に注射器が刺されていた。


虹色の液体の入った注射器だ。


「天之川ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「僕が時間止めれるの知ってただろ。」


オルルの体が黒く変色していく。


体からは鱗が生え、翼が生え、尻尾が生える。


「絶対に死なせない、私の可愛い娘。私はオルルのことを愛している。」


「私もパパが好き。育ててくれてありがとう、愛してくれてありがとう。」


オルルは最後に飛びっきりの笑顔で、


「助けてくれてありがとう。」







こうして世界に終焉が訪れた。


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