T-58 無数の神器
すべてを回避する【帯型人器】プリーステス、すべてを破壊しつくす【棒型神器】リノペルフォン。
神器にも序列が存在するが【棒型神器】リノペルフォンに宿った神は【暴力の神】。
その名の通りただ殴るだけしかしてこなかった神だ。
そんな神が宿った神器が弱いわけがない。
「ちなみにおまえの居場所は第六感で見えている。お前に逃げ場はないと思え。」
壁から起き上がろうとする極夜を背中から生えた【網型神器】ディーレンで捕獲する。
「俺は獲物を絶対に逃がさない。金が絡んでんだ、悪く思うなよ。」
デスペラードは【毒型神器】ニョロノフを左手から放出する。
「ゴ・・・ガハッ!!」
極夜から力が抜けていく。
「しびれてしばらくは動けねえだろうよ。」
デスペラードは自分の体と【棒型神器】リノペルフォンを切り離す。
「お前はこれくらいで死なねえだろ。本来の力を忘れてるだけだ、お前がそのままだと世界はまたあいつに支配される。」
デスペラードは【棒型神器】リノペルフォンに力と魔力を込める。
「ここでお前が死ねば世界は終わる。だから絶対死ぬなよ。」
デスペラードは【棒型神器】リノペルフォンを力強く極夜にたたきつけた。
「【【星砕】】!!!!」
地面が崩壊する。
甲高い地響とともに建物が。いや、国ごと二つに割れた。
デスペラードはリノペルフォンを見る。
血は着いていない。
「……、どうやったらあの状況で避けれたんだ?」
「…………。」
極夜の左眼が白い稲妻を帯びている。
それに共鳴してカラクリも白い雷を纏っていた。
「《四式・超電戒》。体を雷に変換し、光の速さで移動できる。」
「光の速さでか。確かにその速さがあれば俺の攻撃をかわせる。だが俺は完全自動回避がある、お前のは完全ではない。お前の方が不利なんだぜ?」
デスペラードはリノペルフォンを持って極夜の方へ走っていく。
「だったら。」
極夜の鋭い剣がデスペラードのそばを掠める。
「掠った?自動回避が反応しなかった?」
極夜は続けざまに剣を振るう。
その中の一撃がデスペラードの頬をかすり、軽く出血する。
「下手な豆鉄砲も数打ちゃ当たる。所詮人の作った道具、いつかは限界はくる。」
人間離れした、まるで音の速さのような剣がデスペラードを追い詰める。
「ぐぅぅぅぅぅぅ!!」
デスペラードも負けじとリノペルフォンを振るうが極夜にはかすりもしない。
「限界が来たな。」
その刹那、デスペラードに鋭い一太刀が。
「!?」
デスペラードは驚いて1度距離を置き、自分の体を確かめる。
確かに体を切られた感覚がした。
しかし外傷はない。
「1」
「2」
「3」
極夜が発するカウントダウン。
デスペラードは何かを悟ったように極夜の方を見る。
「4」
「.........、くそっ」
「5」
5のカウントダウンでデスペラードの体が真っ二つに切られた。
「《二式・次元斬》。」
上半身と下半身に分かれたデスペラードは地面に崩れ落ちる。
すると帯型人器が警告音のようなものを鳴らす。
『装備者の生命危機を感知、緊急テレポートを開始します。』
デスペラードは青白い球体で囲まれる。
「な、なんだ!?」
デスペラード自身何が起こっているのかわかってないようだ。
「あのババアこんなもんまでつけやがって!!」
極夜は剣を収める。
「くそっ、今日は俺の負けだ。お前ならきっとやつを止められる。頼」
デスペラードは音もなく消えていった。
「これは僕の.....勝ち?なのかな。」
極夜はホコリを払う。
「さて、」
極夜は部屋に着いている監視カメラに向かってこう言い放った。
「次はお前の番だな。」




