T-54 雇われの神
極夜が飛ばされたのは広い研究室だった。
机も何もなく、ただ男が一人だけ待ち構えている。
「久々だな、ここに人が来るなんて。」
「誰だ。」
男は武器を持っていない、しかし極夜は剣を構えて警戒している。
本能がこいつはやばいと伝えているのだ。
「まあそう警戒するなって、俺はデスペラード。この国に雇われたただの人造人間だ。」
そういってデスペラードは箱を取り出した。
そしてデスペラードは箱のボタンを押した。
「【神器】トゥータ、起動。」
箱が赤い光とともに開く。
デスペラードはその箱に手を突っ込むと中からはこの大きさからありえない大きさののこぎりを取り出した。
「なんだそれ...。」
「知らねえの?こいつは箱型の【神器】トゥータ。」
「神器?」
「知らねえのか?神器っていうのは神の宿った道具だ。それぞれ対応する神が入ってるから同じ形の神器は二つ存在しねえ。」
デスペラードは極夜に斬りかかる。
極夜はとっさに剣ではじき返した。
「は?」
デスペラードはなぜはじかれたのか混乱している。
まるではじかれるなんてありえないといわんばかりに。
「......それ、どこで手に入れた?」
「これは父さんが作った剣だよ。」
「作った?じゃあなんでチィレンがはじかれた?」
デスペラードはぶつぶつと何かをつぶやいている。
「神器は神器同士じゃなきゃぶつかり合うことができない。もしかしてその剣は神のいない空の神器なのかもな。同じ神器使い同士仲良く楽しもうぜ。」
デスペラードがそういうと箱型【神器】トゥータから大量の神器が出てきた。
「改めて、俺は【争いに憂鬱なる者】デスペラード、ただの傭兵だ。」
同刻 研究所内部
「あののこぎり、神器ですよね?」
ゼロがラスカノンに問いかける。
「ああ、そういってたね。」
「神器の神と使用者が契約している状態、ゆえに同じ使用者が二つの神器を扱うことはできないはずでは?あいつは何者なんです?」
「......彼はうちの国が雇った傭兵なんだ。経歴不明、出身不明、わかるのは名前、種族とエクストラスキルだけ。」
ラスカノンは組んでいた足をほどく。
「彼のエクストラスキルは【人間のいない世界】。神器と無限に契約できる。」




