T-52 ラスカノン
極夜はラスカノンに向かうために乗り物に乗っている。
「あの、ゼロさん?」
「なんでしょう。」
「もうちょっといい移動手段はなかったんですか?」
極夜は乗り物 (ゼロ)にお姫様抱っこされながら空を飛んでいた。
「いやですか?ならこのまま手を放しますね。」
「いや......このままでいいです。」
「ふふっ、冗談ですよ。」
「冗談に聞こえないですよ...。」
ゼロは感情を表に出さない。
感情は感じるのだがそれを表に出すことができないのだ。
ゴーレムという種族上だれかに作られた以上顔が動くように作られていないと笑ったり泣いたりすることができないのだ。
「そういえばゼロさんも父さんの仲間だったんだよね。父さんの話聞かせてよ。」
「マスターの話ですか!!いいですとも、世界一強い我らがマスターは性格良し顔良しのスーパー完璧人間、普段は頼りなく私たちに助けを求めたりするんですが仲間のためなら命を張れる優しい人で私の創造主に似ていてとにかくすごいんです!!坊ちゃんはあまり知らないと思うのでマスターのかっこいいところ100選を順番にお教えしましょう。あれは私とマスターが初めて出会った頃…………。」
まるでアイドルに惚れた限界オタクが推しを語るかのような早口で聖夜の説明をし始める。
そんな話を聞きながら極夜は、
(あぁ、これ着くまで永遠に語られるやつだ。)
と、考えるのをやめた。
「ほら坊ちゃん、つきましたよ。」
「ようやく着いたのか...。」
まるまる一時間聖夜の話を聞かされ極夜はぐったりしていた。
ここはラスカノン王城の真上。
「ここからどうやってオルルを助け出そうか。」
そういった瞬間、ゼロの髪色が銀髪が金髪に染まり、目は深い蒼色から紅色へ変化した。
そしてゼロの手のひらから純黒の光が放たれ、直撃した王城は崩壊した。
「さあ行きましょう。」
「い、行きましょうって...。人が中にいたんですよ!?なんでこんな虐殺を!!」
崩壊した城には大量の血液が飛び散っていた。
叫びながら逃げ惑う人もいる。
「なぜと言われましても、これが一番効率がいいじゃないですか。」
イかれてる。
極夜はその言葉をぐっと飲みこんだ。
そしてこんなことを思ってしまった。
父さんの仲間はみんなおかしいのではないかと。
もしかしたら優しいカケルもミルドさんも。
「坊ちゃん、ここから地下に行けます。魔力反応を見るにオルクジャナスもそこにいると思います。
極夜はゼロに連れられて地下へと向かっていった。




