#30 剣聖の意志をつぎし骸
ミルド率いるスケルトン隊はどんどん進んでいた。
ミルドには〈装備生成〉というスキルがあるらしく、城壁を削って武器を作り、それをスケルトンたちに渡していた。
ミルドたちが城のダンスホールらしきところに来ると、突然魔獣が湧き始めた。
敵はゴブリンの軍団だった。
「正面に魔獣発見!! A班はさっきの隊列で敵を押し切れ!! B班は後方から魔術で援護を!!!」
「ォォォォォォォォォォォォォォオ!!!!」
スケルトンたちから魂の雄叫びみたいなのが聞こえてくる。
ミルドは状況を判断してスケルトンたちに命令をする。
A班は長い槍と盾を使う重装歩兵、B班は魔術が使える後方支援らしい。
「A班いいぞ!! そのまま押し切れ!!!! B班も手はなるべく休めるな!!!!!!!」
「ォォォォォォォォォォォォォォオ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
スケルトンの士気がどんどん上がってきている。
ゴブリン軍がA班に押されている。
そして戦いは10分も経たないうちに終わった。
こちら側の圧勝だった。
「みんなお疲れ。体力がなくなった奴と魔力がなくなった奴にはスタミナポーションを配布する。 そのほかに大怪我した奴はゼロの元へ。」
俺は戦い終わったスケルトンにスタミナポーションを与え、ミルドの元に行く。
「お疲れ、どうだった?」
「ありがとうございます、我が主人。 スケルトンたちは非の打ち所がないくらい強くて団結力があります。」
「そうか、お前も頑張ったな。」
「あなた様からお褒めのお言葉をいただけるなんて感激です。」
「大げさだ、お前たちは頑張ったんだ。次も頑張ってくれ。」
「わかりました。この命に変えても任務を遂行します。」
そう言って俺はミルドに背を向け、ゼロのところに歩く。
「そっちはどうだ?」
「マスター、こちらは全員の手当てが終わりました。」
「そうか、ご苦労。」
「マスター、ほかに仕事はありますか?」
「んー、ゼロは何ができるんだ?」
「力を最大限に引き出すスキルでこの城もろとも吹き飛ばすことができますよ。」
そう言ってスキルを使おうとするゼロ。
「やめろバカ!! お宝まで消し飛ぶだろ!!」
そういうとゼロはシュンとスキル発動を停止する。
「もう絶対すんなよ。」
「…………。」
「返事しろや!!」