T-36 七罪闘争
新しい魔術や魔導医療の開発には膨大な魔力が必要だ。
それこそオルクジャナスを手中に収めることができれば永遠に電力には困らず、社会は発展し、他の国を凌駕する戦争技術も発達し、世界を征服することができる。
怖い、友達を失うのが。
オルルが敵の国に捕まれば死ぬより辛いことをされるだろう。
「てことでまた僕を強くしてください!!」
「いいだろう。」
極夜は父の墓の前で出会った骸骨に土下座した。
「いいんですか!?」
「ただし、私の修行は厳しいぞ。」
「ち、ちなみにどのくらい?」
「そうだな、マラソンで例えるなら1時間で42.195km走るくらいだ。」
「すーーーっ、よろしくお願いします。」
「ほう、これを聞いて逃げないということはそれほど強くなりたいということだな。いいだろう、稽古をつけてやる。まずは場所を移動しよう。」
骸骨と極夜は見晴らしのいい草原にテレポートする。
「さ、まず最初の修行と言いたいところだが、一度剣を見せてくれ。」
「わかりました、どうぞ。」
極夜はカラクリを鞘から抜いて骸骨に見せる。
「ほぉ、なかなかに良い剣だ。だが手入れがなってないな。」
「手入れですか?僕結構頑張ってるんですけど。」
「頑張るだけでは良くない、剣が泣いてるぞ。手入れはこうやって敬意を払って魂を込めるんだ。」
そう言って骸骨はカラクリを丁寧に手入れをしていく。
古い油を取り、空気に触れないように油で膜を作る。
極夜も毎日やっていることだがカラクリは嬉しそうにプシューと排気熱を出した。
「ほんとだ、心なしか嬉しそうに聞こえます。」
「剣というのは命を預け合う魂で繋がった友のようなもの。故に手入れを怠ってはいかん。」
骸骨はカラクリを鞘に戻し、一礼をする。
「それじゃあ次だ。ほら、私の剣で一度試し切りしてみろ。」
「え、でも骸骨さんのこれ木刀ですよ?」
「いいから切ってみろ。」
「わかりました、はっ!!」
当たり前のように木刀は的の丸太に弾かれた。
「わっ!!これ折れちゃうんじゃないですか?」
「私の剣がそんなもんで壊れるわけないだろう。私に貸してみろ。」
極夜は骸骨に木刀を返す。
「剣は持ち主を選ぶ。先程坊主が丸太を切れなかったのは私の剣が坊主を認めなかったからだ。」
「いやでもそれ木刀ですし仕方ないんじゃ……。」
「それじゃあ次は私が手本を見せてやる。」
骸骨は居合切りの構えを取る。
「……しっ!!!」
スパァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!
美しい太刀音と共に丸太が真っ二つに切れた。
「え?え?え?」
「次の修行は刀に自分が持ち主だということを教えること。それができれば木の枝で鉄も切れるようになる。」
「いやならないでしょ。」




