T-26 最弱の護衛
「ね、ねぇ極夜。そろそろ鬱陶しいんだけど。」
「いやだめだ、どこかに殺し屋がいるかもしれないし。」
「いつからわたしのボディーガードになったのよ。」
俺はオルルが通る道全てを確認、遠くからのスナイパーを警戒していた。
食べ物も毒味し、通行人全てに目を光らせている。
ゲッケイジュも面白そうだからと一緒にやってくれる。
「どうせお父さんから言われたんでしょ、『娘を狙う輩がいるかもしれないから娘を守ってくれ』とか。自分の身くらい自分で守れるって。」
「そうは言ってもさ。」
パリーーン!!
「ガラスが割れる音!?」
遠くで窓ガラスが割れる音がした。
「オルルに何かあるかもしれない。ゲッケイジュ、いくぞ!!!!」
「うん!!」
そう言って音の方に全力で走っていった。
「いや私となりにいるじゃん。」
「割れていたのは空き教室の窓ガラス。
僕たちが一番乗りで他には誰もいなかった。
「なんだ?何で割れたんだこれ。」
ガラスの破片は対して落ちていない。
つまり内側から破られたのだろう。
しかしここは角部屋、近くに誰もいない。
誰ともすれ違わなかったし。
「あれ、極夜くん。こんなところに紙が挟まってる。」
ゲッケイジュが指さしたところには一枚の紙切れが。
そこには、
《膨大な魔力を持った娘は頂いた》
と書かれている。
「「え?」」
護衛ミッション失敗
オルクジャナスは暗い倉庫に連れ去られていた。
「ちょ、ちょっと何すんのよ!!」
「静かにしていろ。」
大柄な男が3人。
対してか弱い(?)女性一人。
「私に何する気?えっちなこと?えっちなことでしょ!!」
「そんなことするか!!」
男は電話で連絡をとっている。
「よし、船の手配は済んだ。これでこの国を出国できる。」
「出国?あんたたち外国人なの?」
この世界では全国で言語が統一されている。
よって外国人かどうかはあまり区別がつかないのだ。
「そうだ、俺たちは《ラスカノン帝国》帝王の命令でお前をさらった。内容は詳しく教えてくれなかったがお前を帝王に売れば5億ルピアだぜ。」
3人は大声で笑う。
その中で一人、オルクジャナスは震えていた。




