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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第四章、数多の強者の影に居る
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T-13 強者

「ねぇ父さん。僕はどうすればいいの?」


墓に喋りかけても返事はない。


そもそも死んでいないのならここ墓石に何の意味もないんじゃないか。


「あの気の良さそうな女の子が世界を破壊するような邪悪な竜なんて思えないよ……。」


体育座りで頭を抱えていると墓へと通ずる次元の扉から声が聞こえる。


いや、厳密には声ではない………詩?


「剣の道は過酷な試練。数多あまたの士が死に、数多の師がその屍を超えてきた。鍛錬を積んだ残った師はやがて豪となり、豪はまた極となり、極は聖に聖は神に、神はてっぺんにたどり着くことで頂となる。」


カランコロンと下駄の音が聞こえる。


次元の扉から出てきたのは着物を着た骸骨だった。


右手に花束を抱えていて右手の中指に綺麗な指輪をつけている。


「おや、先客がいたのか。こんな時間に珍しい。」


骸骨は僕の隣に腰を下ろし、墓に花を飾る。


「坊主、なにか辛いことでもあったのか?」


「え……、はいちょっとだけ。」


骸骨は僕のことをジロジロと観察する。


「ふむ、辛かったろう。辛い時は何かスカッとするようなことをすれば良い。」


カランと骸骨は立ち上がる。


「坊主、剣の心得はあるか?」


「え、あ、ちょっとだけ。」


「十分だ、ちょっと付き合ってもらえるか?」


僕も立ち上がる。


骸骨は剣を構える。


あれは……木刀?


「あの、僕真剣なんですけど。」


「構わん、このくらいしないと坊主が壊れてしまうぞ。」


僕も剣を構える。


王族としてここまで舐められるのは腹が立つ。


僕は一応この国の騎士団長レイドさんに剣術を教えてもらっていた。


それにアマハラからもらったスコープを覗いてみてもランクはC。


僕より弱い。


「行きますよ!!」


僕は剣を振り上げた。


その瞬間骸骨は振り上げて隙ができた脇腹に木刀を一発。


さらに切り返して二発切られた。


「うっ!!」


木刀でも痛いものは痛い。


一瞬よろけたその隙を骸骨は五発刺突し、脛に鋭い斬撃を三発くらわせた。


「ぐえっ!!」


僕は圧倒的な力の差に倒れ込んだ。


「ふむ、まぁまぁだな。だが私の攻撃を目で追えるとはなかなかだ。」


「追えてただけですよ、体が追いつかない。」


「良い動体視力だ、さながらレイドの【鷹之目流水流剣術】の応用か。」


骸骨は倒れた僕に冷たい水を渡してくれる。


「あの、あなたは一体?」


「私か、私はただの老骨(年老いた人のこと)だ、骨だけにな。」


「ふざけないで真面目に答えてくださいよ。」


「すまんすまん、そうだな。さっき私が歌ってた詩は覚えてるか?」


「いや、覚えてないです。」


「そうだろな。剣の道を極めるものの名を歌った詩なんだ。最初は剣士、そこから剣師、《剣豪》、《剣極》、【剣聖】、【剣神】、そして世界一の剣士【剣頂】と名が変わる。」


骸骨はザクッと木刀を地面に突き刺す。


「私は我が主人あるじである王を守りしものであり剣の頂を超えた男、【頂を喰らう者(クラウンイーター)】だ。」


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