D-63
一方こちらは病院のような場所。
ここでアレイスターと虚神は対峙した。
『ひさしぃな、緑の男よ。』
「えぇ、できればあなたとはもう会いたくなかったですが。」
霧のように薄い虚神に話す。
だがこんな薄い存在にアレイスターは以前訳のわからないやり方で惨敗している。
その無念を今晴らす時だ。
『くっふっふっふっふ、いい目をするようになったな。以前のただの殺人鬼のような目とは違い覚悟を持った目だ、それはなんの覚悟だ?』
「私は自分のためだけに聖夜くんを巻き込んでしまった、初めの頃は償いなどはどうでもよかった。ただ後ろ盾が有ればそれでいいと思ってついていってた、でも今は違う。聖夜くんという人間に希望を持った、この人に一生ついていこうと強く決めたんです。」
『…………やはりあの男は人を魅了する何かがあるのだな。我が盟友もそうだ、あの男に何かを感じると楽しげに話しておった。』
霧のような体がバフバフと動く。
「私は元の世界に戻って聖夜くんを王に戻す、そしてその下で一生を過ごしたい。」
『それは叶わない願いだなぁ。』
虚神の手には大きな斧のような神器が握られている。
『神器メルトゥナド、こいつで貴様の頭をかち割ってやろう。』
「それは痛そうですね、でもこちらも負けるつもりはありませんから。」
『その意気や良し、名を問おう。』
「私は【楽園の守護者】…………いや、ただの王の付き人のアレイスターだ。」
『我は【虚神】、以前はザンギエルという名だったが今はもうない。』
「そうか、なら先にいかせてもらうぞ!!」
アレイスターはバッと前へ飛び出す。
アレイスターは常に30秒先を見ているので攻撃はそう簡単に当たらない。
「くらえ、《ギガ・ボルト》!!!!」
アレイスターの雷魔術が炸裂する。
『当たらんよ。』
しかし薄い虚神には当たらなかった。
虚神は気配を消してアレイスターの後ろに周り、神器を振り下ろす。
「見えてますよ!!」
それを軽々とアレイスターは避ける。
神器はそのまま地面に激突した。
『ふむ、やはり未来視は厄介だな。』
するとアレイスターの後ろに立っていた虚神はグリンとアレイスターの前に瞬間移動した。
「な!?」
未来にそんなものは映っていない。
『ほれ、避けてみろ。』
ガン!!!!!
神器が激突する音が響いた。




