D-37 地獄の王
聖夜達が城の門へ行くとあっさりとサタンが根回ししていたのか門をくぐり抜けてしまった。
そしてそのまま国王のいる部屋へと連れられた。
「こちらの部屋でサタン様がお待ちです。」
付き人さんはどこかへ消えてしまった。
俺たちは部屋のドアを開ける。
すると以前俺たちが戦った相手、サタンが座っていた。
姿形は以前あった時とさほど変わっていない。
「よくあの紙だけで伝わったな。」
「ふん、吾輩の想像力に感謝するんだな。」
俺が紙に書いたのはただの横一文字ではなく漢数字の1。
そう、サタンのパートナーであった『佐藤一』の一とかいたのだ。
「それで、吾輩に何のようだ。」
「いや、地獄のこの辺りに神王の奇石があるって情報を聞きつけたから探しに来たんだよ。」
「奇石か。吾輩は見たことはないがこの広い辺り一体を探すのか?」
「まぁそれしか方法ないからな。」
「ふむ、なら私の部下どもを貸してやろう。」
サタンが指をパチンと鳴らすとババっと忍者のような悪魔が数体どこからともなくやってきた。
「お呼びで?」
「我が友の友が『神王の奇石』を探している。地獄の全悪魔を使って探してやれ、見つけたものにはこれから創る権力を持った悪魔である《七大悪魔》の称号を授ける。」
「御意。」
忍者達はスルスルとどこかへ行ってしまった。
その数分後、
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
地面が揺れる音がする。
「な、なんだ!?」
『聖夜……窓の外…………。』
ベルゼブブに言われるがまま外を覗き込む。
「嘘だろ……。」
外には数えられないくらいの量の悪魔達が町中を駆け回っていた。
みんな七大悪魔の称号が欲しいのだろう。
「まさかこれほどの影響力だったとは思わなかったぜ。」
「これが吾輩の人徳ってやつよ。」
「で、お前自身は行かないのか?」
「ちょっと外に出られない状況にあるからな。」
「?」
聖夜が首をかしげると椅子の後ろからスルッと女が現れた。
先程の忍者達より気配をかんじられない。
すると女はサタンに飛びつくように抱きついた。
「あ〜んサタンちゃん、私がいない間寂しくなかったぁ?」
「寂しくなかったから離れてくれ。」
「え〜、そんなこと言わんとってぇな。うち寂しいやん。」
女はサタンにベタベタとくっついているがそれを羨ましげに見ている聖夜と目があった。
「…………何このちびすけ。」




