D-27 オロロロロロロロロロロロロ
「ぜはぁぁぁぃぁぜはぁぁぁぃぃげほぉっっ!!」
無理だった。
体力の効率を減らしたところで元々の体力が少ないのに殴る蹴るなんてできるわけがない。
天之川は止まった時間の中で息を切らしていた。
体力は当然回復しないので極限まで疲れ切っている状態でジョギングしているような感覚だ。
「か、解除。」
掠れた声でそういうと止まった時間が元に戻る。
「ぬっ!!」
天之川の少量の格闘で少しのけぞるラジエル。
しかしそんな物微量のダメージにもならない。
「あ、天之川くん大丈夫ですか?」
「クウキオイシイ。」
天之川はとても幸せそうに空気を肺に取り込んでいる。
天之川は一時戦闘不能。
「私エクストラスキルないんですけどぉぉぉぉぉ!!!!」
「死ね。」
ラジエルが剣を振り下ろす。
「あ、」
アレイスターは手を剣に突き出す。
そして剣が腕に触れた瞬間、
バリィィィィィン!!!!
剣が元のコインに戻ったのだ。
「そういえばエクストラスキルなくても魔術があるじゃないですか。」
聖夜に無能無能と言われていたがアレイスターはとても強い魔術の使い手。
アレイスターの本来のエクストラスキル、【失楽園】は次元を跨ぐ力。
その力の応用で発砲音や弾道をなくした銃の射撃や正確なテレポートが使えた。
しかし言ってしまえば先頭においてはただそれだけの力なのだ。
「………スキルが打ち消された?」
「魔術を壊す反魔術の応用、反技術がまさか効くなんてわたしもびっくりですよ。」
その煽りのような言葉で冷静さを失うラジエル。
「ほ、ほう。このわたしが人間のような下等生物に挑発されるとは心外だ。」
「ラジエル、冷静になれ!!」
ザフキエルに諭されるが冷静さを失っているラジエル。
「殺す!!」
「待てラジエル!!」
本能のままに財布から大金を取り出し、それを大量の槍に変える。
そしてそのまま一気にアレイスターに向かって投げた。
と、同時に時間停止発動。
天之川はアレイスターを槍の当たらない場所へ移動させた。
「ありがとうございます!!」
「ダイジョボロロロロロロロロロロロロ。」
天之川は激しく嘔吐する。
「こい、ホワイトフェザー!!」
アレイスターがそういうと手元に白い銃が出現した。
「『弾道オプション追加・蛇』。」
そういうと銃は青白い光を帯びる。
そしてそのままトリガーを引いた。
ババン!!
二発の玉が間髪入れず発射される。
すると弾は蛇のようにうねうねと動き、着弾点が定まらないままラジエルに飛んでいく。
そして槍に金を使い果たしたラジエルに二発とも着弾した。




