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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第三章、喰らうものと食われるもの
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#20 斎藤ケンヤ

俺は斎藤 ケンヤ。




ある日いつも通りに学校で授業を受けていると、突然異世界に転移してしまったんだ。




小説みたいだろ?




転移していたのは俺が小学3年生の頃のクラスメイトで、わけがわからなくて泣いてるヤツや逆に楽しそうにしているヤツもいた。




俺は冷静にいち早く状況を整理して、行動していた。




俺には戦闘が得意なニンジャという職業だったらしく、勇者のユウキとともにダンジョンなどに行っていた。




ユウキも俺と同等の力を持っているけど、自分の力を過信しすぎてすぐに調子にのるから反撃をくらう。




でも何だかんだあったけど結構いいヤツだった。




学校ではあまり喋っていなかったけど、もうちょっと時間があれば友達になれていたかもしれない。




そんなユウキは今、元人間の化け物に食われていた。




今すぐにでもあいつを止めに行きたい。




ただ、恐怖で足が動かなかった。




ユウキが悲鳴をあげながら食われるのを俺はただ見ることしかできなかった。




ふと、頰に涙が流れる。




この涙は目の前で友を失った悲しさ、あいつを止められなかった自分への悔しさ、そして何よりユウキを食ったあいつへの怒りの涙だ。




「殺す!!」




今の俺の頭には悲しさと悔しさを超えた怒りだけだった。




数分でユウキを完食したあいつは口元に着いた血をベロベロと舐めている。




一番腹がたつのは、あいつが満足気な表情をしていた。




もうあいつを人間とみてはいけない。




あいつは人間に害を与える害獣だ。




この場で始末しなくちゃ。




始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末始末




どんな殺し方をすればユウキは喜ぶだろうか?




あいつがやったように食い殺す?




それとも手足を引きちぎって苦しむ顔を眺める?




やり方はどうでもいいか。




とりあえず目の前にいるあいつを殺さないと、ユウキが報われない。




とすれば対人では危険すぎるあれを使うか。




俺のユニークスキル〈瞬発〉を最大威力で出し、超光速で敵の目の前に行き、そのスピードのまま剣を突き刺す技。




これの欠点は最大威力に足が追いつかずに使った後に折れることと、周りに莫大な被害をもたらすことだ。




この砂漠ではエンペラーバジリスクの死体しかないので被害は大きくてもいいだろう。




足はあいつを殺せるなら2本ともいらない。




あいつが油断しているすきに決めてやる。




俺は〈瞬発〉の威力を引き出す。




この技に気づいた瞬間がお前の最後だ。




「ん?」




ヤツがこっちに気づいた。




今だ!!




「〈瞬発〉!!!!!!」




最大限の力を引き出して地面を力強く蹴る。




その瞬間ボキッと鈍い音が響いたが、気にしない。




これで終わりだ。






スカッ






「な!?」




「……人肉ってすごいな。あんな速く動く人間の動きを見きれるほど動体視力もよくなるなんて。」




外した。




それと同時に骨折の痛みがやってきてバランスを崩し、そのまま砂漠の砂にダイブするように転倒した。




終わった。




足は両足とも骨折したからもう動くこともできない。




そんな俺の目の前にアイツが近寄ってきた。




「これで終わりだ。」




アイツは剣を思いっきり俺の胴体に突き刺した。




胸のあたりが熱くなり、意識が遠のく。




「ユウキ、俺も今からそっちにいくよ……。」




こうして俺の、斎藤ケンヤの人生は終わりを告げた。



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