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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第三章、喰らうものと食われるもの
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#19 縺斐■縺昴≧縺輔∪

「さぁ、始めよう。本気の戦いをね!!」


そう言ってケンヤは俺に突進してくる。


「《忍法・隠れみの術》!!」


ケンヤはやはりその術を使うのか。


ただこっちもそうやすやすとさせないぞ。


「《サークルフレア》!!」


火炎魔術の一つ、広範囲に小火力の炎を出す技でケンヤの場所を捉える。


「あちちっ!」


案の定、ケンヤは出てきた。


ケンヤの服に火が燃え移っているので姿は見えなくても攻撃くらいはできる。


「オラっ!!」


俺はケンヤに剣を振り下ろす。


「《忍法・煙遁の術》!!」


突如煙が目の前に発生し、俺の視界を奪う。


「くそっ!!」


煙が濃いせいでケンヤの居場所がわからなくなった。


「あ、服に火が付いてんじゃん。《忍法・水遁の術》!!」


奥で水の音が聞こえた。


くそっ、消火されたか。


だがあいつの剣には直に炎をまとわせているから場所はわかる。


「そこだ!!」


俺は狙いを定めて剣を振る。



ドゴッ



硬いものを切ったような音が聞こえた。


これは人間に当たってなる音じゃない。


ということは、


「後ろだよ」


一瞬反応が遅れた。


早く防御しないと……。


「遅い」



ズバッ



俺はケンヤに首元を切られたようだ。


俺の首元から鮮血が飛び散る。


うーわ、だいぶ血が出てんじゃん。


もう助からなそうだな。


そういえば前にもエンヴィーに自爆された時に同じような感じがした。



死の予感



レベル差があっても技術があるかないかでこんなにも違うんだな。


なんか食って体力回復しないと。


あー、何か食うもんはないかな。


幸い、思考加速があるから頭の中で考える時間はいくらでもある。


エンペラーバジリスクはどうだろう。


だめだ、肉が固すぎて食べるのに時間がかかる。


じゃあ大量のザコバジリスクは?


それもだめだ、場所があまりにも遠すぎる。


ほかに食べるものは…………


ふと頭の中にユウキたちの顔がちらつく。


……人間か。


そういえばエンヴィーの肉は柔らかかったような。


ユウキたちは近くの岩陰で隠れている。


いけるか?


いや、俺が人を殺せるのか?


でもエンヴィーを食った時は罪悪感とか生まれなかったし、第一俺はあいつらにいじめられていた。


復讐がてらいけるんじゃないか。


俺は、最後の力を振り絞ってユウキたちのところに走る。


「あ、待てっ!!」


俺は何が起きてるかわかっていないユウキを取り押さえる。


「くっ、人質か!?」


人質? そんな生ぬるいものじゃないんだよな。


こいつは大事な、



食糧だ。



「いただきまーす。」


「や、やめろ!!」


ケンヤが叫ぶが気にしない。


ユウキは抵抗できないまま、泣き叫んでいた。



ガブリ



俺はユウキの頭を思いっきりかじった。


口の中が血と肉で溢れかえる。


頭蓋骨をボリボリと噛み砕きながらもう一口を食べる。


取り巻き3人はグロい光景を見て嘔吐していた。


ケンヤは遠くでこの光景を見てただ一言、


「化け物…………。」


ただそれしかいえなかった。


俺は不覚にも人間をおいしいと感じてしまった。


特に脳みそがドゥルドゥルで美味しい。


確か暴食に味覚強化ってのもあったからそのせいだろう。


頭、脳、腕、胴体、内臓、足と食べ進める。


俺は約5分程度でユウキを食い殺した。


今まで何を食べても空く腹が、今日は満たされたような感じになった。


もう俺は人間ではなくなった。


この時、この瞬間が俺の人間だった頃の最後の瞬間かもしれない。


俺の人間としての歯車が音を立てて崩れていくような気がしした。








暴食・・・大罪人の1人が持っている魔神の力の一つを受け継いだスキル。解放条件を満たすことで真の力を発揮する。

ただし、使い方を間違えると裁きを受ける。

〈解放条件〉悪人の命を絶つ

〈解放能力〉顎の力倍増、歯の強化、消化器官強化、栄養無限貯蔵、身体能力強化、暴食治癒、暴食の指輪獲得、魔術効率上昇、魔術威力上昇


〈制裁条件〉善人を殺す

〈裁き〉味覚を奪われる



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