#171 二つ目のエクストラスキル【失楽園】
「私の第二のエクストラスキル、【失楽園】。能力は指定した人間の個人情報や居場所まであらゆるものをサーチする。」
エクストラスキルは二つ以上持てるなんて聞いてないぞ。
「ってことはアレイスターは二つの試練を受けたってわけかよ。」
「正確にはひとつです。私の【復楽園】はバグで取得したものですから。」
「バグ?」
「神王が管理できなかった予測不可能な事態のことです。この世界も以前何度かのバグで一度この世界そのものがデリートされたらしいですし。」
なんかずるいな。
「まぁ能力の種もわかったしそろそろ全力でやるか。」
「ほう、今まで全力じゃなかったみたいな言い方ですね。」
「そりゃそうだ、こいつを使ってなかったからな!!」
俺は魔剣ベルゼブブを取り出す。
『やるぜ相棒!!』
「やる気満々だな、ベルゼブブ!!」
俺はダッシュで斬りかかる。
それに合わせてアレイスターは270°の壁を錬金術で作り出す。
「ベルゼブブ!!」
『おうよ!!』
ベルゼブブは錬金術で土をせり上げ、俺はそれを階段のように踏んで上に登る。
「上がガラ空きだ!!」
俺は剣を振り下ろすが、
「甘い!!」
アレイスターはすでに別の場所へ移動していた。
代わりにあったのは錬金術で作られた踏むと上に飛び出す杭だ。
「ぐへぁ!!」
俺は杭をtntnにぶつけられてのけぞる。
「金的はなしだろ……。」
俺は痛みをグッと堪える。
奥に響くような痛みが未だに続いている。
「……次はもっと鋭いのにしましょうかね。」
「やめろ!!」
なんだろうこの雰囲気。
戦いなのにどうしてか和むような。
俺は意外と天之川と同じようにアレイスターのことが好きなのかもな。
「なぁ、いい加減教えてくれよ。お前の計画をさぁ。」
「そうですね、それは僕を倒したら教えてあげますよ。」
「それお前負けるフラグだぞ、いいのか?」
「フラグは主人公が出る場面しか発動しないって知ってました?」
「大丈夫だ、なぜなら俺は」
俺は躊躇いもせずその言葉を、
「なぜなら俺は主人公だからな!!」
主人公ではなかった青年はいつしか本物の主人公に…………。