#135 紳士になりたかった錬金術師
315階大型闘技場
ここは塔の中なのにも関わらず普通の闘技場のような場所だった。
照明は薄暗く付いている。
ミルドは闘技場に入るや剣を地面に突き刺す。
「ほう、ちゃんと作法をわかってるじゃないですか。」
声の方を向くと相手の入場口から男が出てきた。
男は若いように見えるが紳士服に身を包みシルクハットをかぶり、どこか大人の気風が感じられた。
「前世に闘技場で何回か戦ったことがあるのでね。」
「それは素晴らしい。是非ともすぐに手合わせ願いたいところですが。」
男は指をパチンと鳴らす。
すると電気が全開になり、見れなかった観客席などが見えるようになった。
『んレディーーーーーーーースアーーンドジェントルメェェェェェェン!!!!本日はミルキーウェイ大型闘技場にお集まりいただきありがとうございます!!今回の戦いたいを実況致しますのは拡声魔術でお馴染みの私ステイサー、解説は天之川魔術研究会魔術覚醒局局長のジェミルさんでお送り致しまーす!!』
『よろしく。』
実況がそういうと観客席から大きな歓声が巻き起こった。
「観客席まであるのか?」
「あぁすみません。私こういうのが大好きでして、もし嫌ならやめさせますが?」
「いや、このままでいい。」
『さぁルール説明行ってみましょう!!!ルールは簡単、普通の闘技場のルールと同じく相手をダウンさせれば勝ち!!魔術、剣、飛び道具、目潰し金的ありのデスマーーーーーッチ!!観客や実況は選手に一切手を出してはいけません!!手を出せばもれなく天之川さんに首をちょんぎられまーす!!』
「……なるほど、私が勝った後も瀕死の私に手を出さないということですか。」
「そうですそうです。観客は私たちが殺し合う姿が見たいだけなのでね。」
『それではまずは選手の紹介だ!!西側、裁人の従者にして元は7代目剣聖。そしてなんと聖属性の魔術を扱える骸騎士、【剣帝】ミルド選手だ!!!』
実況がミルドの紹介をすると場がワッと騒ぎ出す。
どうやらこの観客達は本当にただ戦いを楽しみたいだけらしい。
『対するは我らが天之川魔術研究の幹部。我々の独自魔術を凌駕するほどの魔術を持ち、さらには空間魔術の上位互換である亜空間魔術までつかえるという魔人、《錬王》キャラメル=フラメルだ!!!!』
キャラメルはペコリと一礼をする。
『それでは両者構えて!!』
ミルドは剣を地面から引き抜く。
キャラメルは静かに仁王立ちしている。
『始め!!!!!!!』
ゴングと共に試合が始まった。