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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第九章、絶望
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#106 帰還

ミルドは主人であるグラトニーの帰りを待っていた。




今回も楽勝で帰ってくるだろうと待ちわびていた。




だからこそこの現状から目を背けたかった。




「我が主人……。」




彼の主人は体中から血を吹き出し、意識をなくしている。




そしてその主人を抱えてきたゼロも体の至る所が欠けていた。




今はゼロは専門のゴーレム師のところに、グラトニーは国の中で最も腕の立つ医者を呼び、国で1番の調合師の薬を用意した病院にいる。




幸い二人とも息はあり、数ヶ月も有れば元のようになるそうだ。




しかしここまでボロボロにされたショックでグラトニーは立ち直れないかもしれないそうだ。




ミルドはそれを知った時、絶望した。




自分を産んでくれた主人が前のようにはいられないという現実を突きつけられたのだ。




「こんなことが……。」




ミルドは肩を落とす。




「こんな体では悲しいのに涙も出ないのか……。」




ミルドは元は人間の魂から生まれた。




しかし元の体で死んで年月が長いので感情を少しずつ忘れてきてしまっている。




しかしそのアンデッドの体では泣くこともできない。




ただただ孤独なのだ。




彼には祈ることしかできない。




自分がついていけば盾になれたのかもしれない。




いや、自分が言っていたところでゼロすらもあんなにもダメージを受けていたのだ。




自分程度では盾の代わりにもならなかっただろう。




「強くならなければ!!!」




拳を机に叩きつける。




「主人に頼られるような、そして主人を支えれる矛になるのだ!!!」




ミルドは腰に下げた剣に手を当てる。




自分の聖剣と主人から与えられた聖剣。




『なら強くなればいいんだよ。』




突如頭の中に声がした。




『本当に強さを欲するならここから北へずっと行ったところにある洞窟に来い。俺はそこにいる。』












「ミルド様、どこへ?」




「旅に出てくる。」




「かしこまりました、国王陛下がお目覚めになった時に伝えておきます。」




「なに、すぐ帰ってくるさ。」




ミルドの目には信念が宿っていた。




頭の中の声の主が誰かはわからないが行ってみるに限る。




どこか懐かしい声だったような気がする。




「我が主人よ、絶対に強くなって帰ってきます。そして、あなたがお目覚めするときまでには絶対に帰って参ります。」




ミルドは国を後にし、北の方へまっすぐ向かって行った。



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