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世界のためなら何度でも  作者: 社長
第二章、非人の村
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#9 亜人の尋問

村長と呼ばれたエルフは俺をジロジロと観察をしていた。




「ふむ、見たところ危険なものは持っていないようだな。セリス、拘束を解いてやれ。」




「わかりました」




そう言ってセリスに拘束具を外してもらっている中、村長は自己紹介を始めた。




「おほん、私はこのクルシュ村の村長エルヴィン・クルシュだ。すまないな、人間の訪問者ゆえにみな警戒態勢に入っておるが気にするな。」




めっちゃ気にしちゃうんですけど。




後ろのドワーフの警備員めっちゃ睨んでるんですけど。




そしてあのマッチョのエルフめっちゃポージングしてるんですけど。




セリスが拘束具を解き終えると、村長は青白く光る水晶を持ってきた。




「これは〈真実の水晶〉。嘘をつくと光る魔道具だ、これに手を置いてもらって今からいくつか質問をするがいいか?」




「あ、あぁ」




そう言って俺は水晶に手を置く。




本当にこんな魔道具ってあるんだな。




「それでは質問1、お前はどうやってここにきた?」




「魔物の森から地図をたどってきました。」




村長は水晶をちらっと見るが、もちろん光らない。




セリスは、「ま、魔物の森!?」と驚いていたが。




「では質問2、その地図はどこで手に入れた?」




「魔物の森にあったエルフの死体のリュックから拝借しました。ちなみに俺が殺したわけではありません。」




水晶は光らない。






「質問3、何をしにここにきた?」




「魔物の森から避難するためです。」




水晶はもちろん光らなかった。




「……これで身の潔白は証明された。すまなかったな、人間だから少し警戒してしまっていたようだ。」




そう言って牢屋の鍵を開ける。




「ここから先は自由に行動するといい。」




そう言って村長はにこやかに笑った。




外に出るとそこは、ファンタジー感溢れる世界だった。




「お、おぉ!!」




俺はとても感動していた。




この世界にきて魔物に追われて過ごしてきたから危険じゃないところがひどく落ち着くんだろう。




いかにもな感じの住居やファンタジーの定番の店など、どれもこれも俺の心に響いた。




グゥゥゥゥゥゥゥ




近くにあった焼き鳥屋の香りが腹に響いた。




ただこの世界のお金を持っていないからどうすればいいかわからないでいると、店の店員らしきドワーフが声をかけてきた。




「そこのにいちゃん、腹減ってんだろう?ほら、食いな! お代はいらねぇからよ。ほれ」




そう言って店員は焼き鳥を2本手渡してくれた。




俺は我慢できずにその場で焼き鳥を頬張る。




肉の旨みが口いっぱいに広がる。




気付いた時には目から大粒の涙が溢れていた。




この世界にきて理不尽な罰を受け、罵られ、苦労して、死にかけて。




そんなことが起きた後にこの人の優しさが響いたんだろう。




「おい、にいちゃん大丈夫か?」




さっきのドワーフの人が優しく声をかけてくれる。




「はい、もう大丈夫です。ありがとうございます。」




俺は涙を拭き、ドワーフの人にお礼を言う。




「ははっ、困った時はお互い様だ。にいちゃん異世界から来たんだろ?」




「?なんで知ってるんですか?」




「そりゃあ、この前も何人かが魔物の森から来たからな。」





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