仏の顔
どこまでも広がるお堂の真ん中で大きな仏が佇んでいた。
わずかな灯を足元から受け、照らされている仏の顔は普段見せていない感情をわずかに孕んでいるようにも思えた。
とにもかくにもお堂からの出口を探そうと振り返る。お堂の木目はどこまでも続き、その端は視界では捉えられなかった。
靴下とニスが擦れてわずかに摩擦音を鳴らす。
・・・ゴーン・・・
後頭部辺りで鐘の音が鳴った。
どこからか聞こえた音じゃない。頭のすぐ後ろで聞こえた鐘の音だった。妙な脂汗が首元をつたう中、そっと後ろを振り返る。
二度目の仏の顔はまだそれとなく穏やかだった。