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転生した私は聖女かもしれない  作者: 御重スミヲ
58/80

58、ライス


 雑草の実から納得のいくものが収穫できるようになったと、試験場から報告があった。

 ここまで早く品種改良が進むのは、研究者の中に《時間加速》の魔法を使える者がいるから。

 本来は戦闘中に一瞬、自分自身にかけるものらしいのだけど。

 その青年は動物や植物にしかかけることができず、完全にハズレ魔法あつかいされていた。

 なんてもったいない!

 (ちり)も積もれば山となる。

 その分歳をとるわけだから多用はさけるべきものも、彼の場合は自分にかけられないのだから問題ない。

 魔力不足は魔石で補い、ガンガン魔法を使わせる私に周囲は引いているけれど。

 本人は生き生きしている。

 相変わらず空気から魔力を取り込めるのは私だけなので、取り込み口のみ独立させた魔法陣。

 例によって、そこから取り込んだ魔力は攻撃魔法には使えない。

 神様に目こぼしされている彼の《時間加速》は、まるで別物だということがわかる。

 手の平にヘナで描いておいたものに、いつの間にか墨が入れられていたのには驚いたけど。

 仕事熱心なのはありがたい。

 念願のお米は、食通の第三公妃をして「虫みたい」と言わしめた。

 それでもさすがは美食ハンター。

 躊躇(ちゅうちょ)なく口にしていた。

「甘みがあって、もっちりしていて悪くないわ。でも、はじめは見た目を工夫しないと、多くの者には受け入れられないでしょうね」

 ならばと、せんべいや団子にしたら褒められた。

「すばらしい! マリアンナ様にはセンスというものがおありになるわ」

 完全にパクリです。

 早速粉にしたものを小麦粉に混ぜて、パンやクレープを焼かせている第三公妃の方がすごいと思う。

 公王陛下たる旦那様はその身に半分、昆虫食をするお国の血が流れているので、ふつうに食べて「いける」といっていた。

 おむすびという形態にも興味(きょうみ)津々(しんしん)

 なにより(ほしいい)を大歓迎してくださった。

 もともと兵糧というと岩石のようなパンと干し肉が中心。

 即席めんが軍人たちに喜ばれるわけだ。野菜スナックはそこそこ。

 しかし、兵糧は安くすむに越したことはない。

 単純計算にすぎないが、同じ農地面積で米は小麦の七倍収穫できると聞いたことがある。

 そして(ほしいい)は、米を炊いて干すだけでできるのだ。

 魔法で乾燥させたとしても、油を使いまくる即席めんより断然お得。

 お湯をさしてぐるぐるすればすぐ食べられる。

 火を焚けない状況下ではそのまま口に含めばよい。

 実食した国軍の幹部たちはすぐに利点を認め、戦場では食べられるだけありがたいと見た目のことなど気にしなかったのだけど。

 「通常より力が出る」「過酷な状況下で平常心をたもつのに最適」等。

 一部の騎士たち(聖女の谷に同行したメンバー)の狂気のような嘆願を受けて、ご褒美的な特別食として即席めんも兵糧のメニューに残されることになった。

 気持ちはわかる。

 せっかくシェフが絶品生パスタを提供してくれているにもかかわらず、時々こっそり即席めんを食べたくなるもの。

 炭水化物と油と塩味(もしくは甘味)の取り合わせはやはり危険。

 いまは戦争はしていないので、軍事訓練の携帯食として活躍している。

 使用人たちの休憩室や、夜警の待機所にも常備されるようになった。

 今年は各地に田んぼをつくり、必要分まで種籾(たねもみ)を増やす。

 一般の農夫たちが作付けをするのは来年からだ。

 農業指導は教会にお願いすることにしたから、私はさほど忙しくないけれど。

 米が世間に出回るのは、来年の秋以降ということになる。

 それまでは試験場の責任者権限で少量確保するつもりだ。



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