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転生した私は聖女かもしれない  作者: 御重スミヲ
32/80

32、聖なるダガー


 最近、王都では歳の差カップルが増えているらしい。

 大公閣下が劇的に若返ったという話が庶民にまで広まって、それは幼な妻を(めと)ったからだという論法。

 結婚当時もいろいろ言われていたとは思うけど。

 信念にもとづいて行動した過去の自分を(おとし)めるようなことはなさらない方だ。

 今回も気にされた素振りはまったく見られない。

 私も気にしていたつもりはない。

 でも、いつの間にか鼻歌をうたっていて、ご機嫌ですねとメイドに指摘された。恥…。

 ただいま実質的な年齢差は十一。これならば貴族社会ではそう珍しくもない。

 そもそも大公閣下に面と向かってとやかく言える人はそうはいない。

 美の探求者でもあるレディ・アーサーには、会うたび嫌味を言われるとぼやいている。

 私はいまは聖剣について調べている。

 おとぎ話の中では勇者がそれをもってドラゴンや魔王を倒しているけれど。

 神様もドラゴンも同じようなことを言っていた。

 自分たちは渡すだけ、あとは持ち手の気持ちひとつ。

 どれも強い力には違いなく、それが一カ所に集中するのは危険だ。

 そう思われることが危険だ。

 王家に献上することも考えたけれど。

 試しに大公閣下に渡したところ、重くて持っていることができず、当然(さや)から抜くこともできなかった。

 私としてはプラスチック製のオモチャの剣を振りまわすくらいの感覚。

 剣筋は聖剣が勝手に最適化するとわかった。

「あとは覚悟を持って振るえるかだな」

 さすがは戦場帰りだ。言葉の重みが違う。

 もと現代日本人の自分にそれができるのか、非常に不安だ。

 でも、いざという時に何もできない方がよほど後悔するだろう。

 まずは弱めの獣や魔物から慣れていくことにする。

 レベル上げという言葉はないけれど、やることは似ている。

 騎士たちが弱らせた獣にとどめを刺す。

 それを何度も繰り返して、武器の重みや肉を断つ感覚、血のにおいに体と頭を慣らしていく。

 はじめは()らしがちだった視線。殺した獲物と目が合うことにも耐えられるようになる。

 普通の動物を狩ることもできるけれど。

 さすがは聖剣、魔物との相性が良い。

 明らかに刃の長さが足りないのに、角を持ったウサギを両断したのには驚いた。

 骨も筋もあるのに、何の抵抗もなく下まですっと刃が通る。

「それだけできれば、私も少しは安心だ」

 大公閣下は剣も馬も人並み以上に操るけれど、どちらかといえば戦略の妙と高威力の雷魔法で名を()せた方だ。

 貴族としての決闘の作法も教えてくださったけれど。

「手袋を投げつけられたならその場で即、相手を切り殺してしまえ。あとの始末などどうとでもなる。逆の場合も同様だ。侮辱(ぶじょく)された程度で殺し合うなど馬鹿々々しいにもほどがあるが、どうせ切り合うなら速い方が勝つ」

 ここで、旦那様は覚悟のことを言っているのだなどと早飲み込みしてはいけない。

 例えば新○組の土○副長が、浪士相手に抜き放った刀を途中で止めるかね?

 おお、ぶるぶる。

「はい、お気遣いありがとうございます。なるべく、そのようなことにならぬように立ち回ります」

「うむ。よい心掛けだ」

 うちの旦那様、わかっていたけどやっぱり怖いと思いつつ、頭を撫でられて腑に落ちる自分がいる。

 これぞ愛というものでしょう。



※上記はあくまでこの物語の中だけの意見であることをご了承ください。

 間違っても現実社会で暴力的解決を擁護するものではありません。

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