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転生した私は聖女かもしれない  作者: 御重スミヲ
18/80

18、招待状


 レディ・アーサーから招待状が届いた。

 それはまごうことなき王城への招き。

 イミダ・デイジー・スイーシスは国王の愛妾だった。

 並みの貴族たちより影響力がある。

 さすがのハノース大公閣下も頭を抱えていた。

 私の身分が曖昧(あいまい)だからだ。

 王城に上がるには、それを確定させなければならない。

 どこの誰ともわからない平民を非公式とはいえ、国王に謁見させるわけにはいかないのだから。

 私の実父だろう男についてはすでに調べがついている。

 これはレディ・アーサーからの無言のメッセージ。

 某男爵家には、落馬して長く寝付いている一人息子がいる。

 その容体がいよいよ思わしくないのだろう。

 普段、一度に数分顔を合わせる以外は、ほとんど放っておかれているけれど、大公閣下は私にかなり甘い。

 洗濯ばさみに続いて布団ばさみ、X字型の(はさみ)や穴あけパンチをつくってくれたし、木版で罫線(けいせん)()った草木紙を大量に用意してくれた。

 私と踊るためだけにワルツのステップも覚えてくれた。

「どうしたい? マリー」

「できることならば、閣下に(めと)っていただきとう存じます」

 さすがにお茶を吹き出すのは(こら)えたけれど、大公閣下はひどく(むせ)た。

「…物好きな。養女になれば王子妃すら望めるものを」

 やめてください。それ鬼門です。

 たとえ乙女ゲーム云々(うんぬん)が私の妄想だとしても、王子妃候補間の争いなど御免被(ごめんこうむ)りたい。それに…。

「はじめてお会いした時からお(した)い申し上げておりました」

 上目遣いに目をウルウルさせて、唇をぺろりと舐める。

「あざとい」

「…お(した)いしているのは本当です」

「知ってる」

 そうやって時々少年の顔をするのだ。本当にまいってしまう。

 ちなみに彼の愛称はダン。御名はダニエルス・クレイ・トリバー・ハノース。

 本当はもっと長いのだけど、面倒くさいのでこの辺で。



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