“アイラブユー”の言葉を残して私の前から消えた彼。
彼が私に最後に残した言葉は、【I LOVE YOU】だった。
せめて、最後に私も彼に【me too】と返したかった。
・・・それが、私と彼の最後だった。
彼はその後、何者かに殺されたからだ。
犯人は、未だに見つかっておらず私もひょっとしたら狙われるかもしれない。
彼は何のために殺されたのか?
私を一人置いて、殺される必要があったのか?
彼を殺した犯人は?
彼は、人に恨まれるような人間じゃない事は私がよく知っている。
犯人の目的は、一体何なの?
・・・どっちにしても、彼はもう戻ってこない。
*
でもある日、私の前に一人の男性が現れた。
『今日から、僕が君の彼氏の坂下良太です。』
『何を言ってるのよ! 良太はもう死んだわ! 誰かに殺されたのよ!』
『いや、違うよ! ここに君の彼氏は居るじゃないか!』
『だから、あなたは一体誰なのよ!』
【ドーン】
・・・私は突然、後ろから何者かに殴られて意識をなくす。
次に目を覚ますと? 私は病院のベットで寝ていた。
『もう大丈夫ですよ! 急に道端で貴女が意識をなくしたと貴女の
彼が言ってました。』
『もう、大丈夫なんだな、かすみ!』
『・・・ううん。』
『一緒に家に帰ろう。』
『うん。』
私は私の彼と言う男性と一緒に家に帰った。
彼の名は、私の愛する坂下良太と言う。
私の記憶は断面的に見え隠れしていた、その日はそのまま寝てしまうと?
朝起きた時には、目の前に居る彼が私の愛する坂下良太だと私は信じきっ
ていたのだ。
どうやら? 私の記憶は書き換えられている。
そんな事を知らない私は、知らない男を彼だと思いラブラブの生活を
送っていた。
・・・それでも、たまに私の消えかけていた記憶が再生される時
があり、本当に私が愛した坂下良太が出てくる映像が見える。
ただ、記憶が曖昧になった私は記憶に出てきた彼を忘れている。
『どうした? 調子悪いのか?』
『・・・ううん、大丈夫!』
『そう。』
あんなに私を愛してくれていた彼は、もうここには居なかった。
今いる坂下良太は、私に冷たくする時もある。
たまに、私が甘えると? 機嫌が悪い時は暴力も振るうのだ。
私の大好きだった彼はそんな事は絶対にしない!
でも私の目の前にいる男性はそうするのだ。
私は思い切って、彼が本当の坂下良太か確かめる事にした。
『ねえ? たまには私に“愛情表現の言葉”を言ってみてよ。』
『“愛情表現の言葉?”』
『そうよ! よく私に言ってくれたじゃない!』
『あぁ、そうだな、』
『ほら? 言って!』
『“好きだよ”』
『・・・・・・』
『なんだよ、試したのか?』
『私の愛した彼は、好きだよなんて言わないわ!』
『えぇ!?』
『私と彼には、“愛言葉があるのよ”』
『なんだと!』
『その愛言葉とは? 何と言うんだ!』
『えぇ!?』
・・・私は記憶が遠のいていく。
先、彼が入れてくれたコーヒーに何か入っていたのかもしれないと
一瞬頭を過って、意識を失う。
次に私が目を覚ました時には、目の前の彼がこう言った。
『I LOVE YOU』
『・・・me too』
彼が私の目の前に返ってきたと思った。
私は強く彼を抱きしめた。
『この女の記憶を操作するのは、なんて簡単な事なのか
これからも、ここにずっと居続けてみせるぞ!』
最後までお読みいただきありがとうございます。