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第二話 王女様はいかがですか? 今ならメイドも付きますよ?

チートまで後数話です。

がんばれー、稀有くん*\(^o^)/*

 捨てるって判断したのいつだよ、と考えつつも、俺はこの先どうするかを考えていた。

一番は、冒険者としてのセカンドライフを楽しむことだ。楽しくはないか……。戦って怪我して楽しいとかどこの戦闘狂だよ……。マゾヒストか……。


 それはそうと、次に候補となる案が出てこない。

銀貨は愚か、銅貨が数十枚しかない俺では、普通の生活を今からするのは無理だろう。かろうじて武器を送ってくれたが、これは魔術師長の手伝いをよくしていたから、感謝の気持ちなのかもしれない。ありがたく受け取っておこう。まあ、『創世器』と『魔剣顕現』というスキルを持つ俺には、武器などどうにでもなるが、やはり最初に持っていた武器、この木剣だけは捨てられない。前世からの大切な物なのだ。


 そうして、俺はこの先、冒険者としてどう活動するかを考えながら、冒険者ギルドまでやってきた。

主に冒険者ギルドは仕事、依頼を出してくれるだけの場所だ。冒険者ランク昇格の報酬の受け取りや謝礼の受け取りも、登録さえすればここで出来るようになる、一種の郵便屋さん的役割もしていたりする。


 冒険者ギルドの受付は、外に設置されている。

中にあると、新人さんに絡もうとする冒険者がやたらいるらしく、問題ごとが多かったので、外設に変わったそうだ。


「あ、あの。登録をしてもらってもいいですか?」

「ええ。では、書類の方に最低でも名前と職業を書いてね」


 優しく対応された。

確かに俺は背が低い方だが、決して低すぎるわけではない。158はあるはずだ。最後に測った時がそうだったから、160かもしれないが……。


 名前の欄に、冒険者として活動する名前、とあったので、稀有、と書いた。

この世界にも、漢字という文化はあり、一部の国では中国みたいな漢字の名前を持つ人たちが暮らす国があるそうだ。


「えっと、漢字を使うのなら、振り仮名もお願いね」


 俺はちょちょいとけう、と書き、再度提出した。


「はい、オッケー。稀有くんね。えっと、職業は破壊者⁉︎ 激レア職業じゃない、それで、特技は剣技と拳技、紛らわしいわね……。まるで私たちみたい……。あ、ごめんなさいね。えっと、一時間後にまたきてくださいね。その頃には冒険者カードもできてるから」


 そう言われ、俺はギルドを後にし、木剣を腰に街中を歩き回る。

そうしていると、騒ぎが聞こえてきた。何やら、王女様がやってきたとのことだ。


 気になって見に行くことにした。

王女様といっても、王子込みで十人いるらしい。女王様、頑張ったんだね……。その中で、王女は六人。俺はサーシャ様以外とあったことはないので、実質見たことのない方が確率は高いだろう。ただ、何をしにきたかでは変わるが……。


 俺は王女様を見て、クラッとした。

久しぶりの目眩だ。

 

 そこにいたのは、大剣を担いだノエルさんを連れたサーシャ様であった。


「あ、サーシャ様、いました」


 さすが騎士にして魔術師。魔導騎士っていうんだっけ?

この世界でも未だに百を超えることのない数少ない魔術を扱える騎士である。そもそも問題で、魔術を使える人魔法使い自体が少ないそうだ。魔術と魔法を両方扱える人を魔導師と呼び、騎士でもある人は、魔導騎士と呼ばれるらしい。


 ノエルは超一流の騎士だ。

俺の気配を一度知っているのだから、近づけば気付かれるだろう。それに関して、きちんと考えていなかった俺の落ち度でもある。


「やべっ、こっち来た」

「おおー、すげぇ!」

「王女様ー! 握手してくださいー!」


 などなど、感嘆の声が後ろから響くが、その中でも一際大きな声が飛んだ。


「ノエル! 捕まえなさい!」

「はいっ‼︎」


 ノエルは速い。

というか、転移魔術を使えて騎士。その動きについてこれるのは化け物か同じ魔導騎士だけだろう。ちなみに、サーシャ様本人も結構強いそうだ。少なくとも、今の俺よりは……。


「ちぃっ!」


 先にここら辺を散策していて良かったと思う。

そのおかげで、地の利を聞かせることができるのだから……。ノエルさんとサーシャ様には悪いが、ここは逃げさせてもらう。諦めないをたまには実践してくださいといったのが裏目に出たなっ‼︎

 

 俺は角を曲がり、すぐさま角を曲がる風に足音を立て、宙を舞ってその正反対の方向へと逃げ出す。

が。


 二対一。

というか、気づけば国民&二人対俺になっていたようで、包囲されてしまった。


「もう逃げられないですよ」


 大剣をくるりと一回転させ、地面に思いっきりその切っ先をブッ刺すノエルさん。

あ、街道の修復費発生。ノエルさん、ダメですよ、無闇に壊しちゃ。


 心ここにあらず、俺は木だ。雑草だ。

俺は放心しようとしたが、それを許さぬものがお一人……。


「起きてください、稀有さん」

「うあー、サーシャ様ー、俺ァもう一般人ですぜー」


 僕関係ないですよねオーラを全力で放出し、凡人+三下風冒険者を演じる俺。

サーシャ様はそれでどうにかなったがしかし、ノエルさんは止まらない。本当にカッタリーな。


「何のようでしょうか?」

「……………、」


 あ、踏み抜いたかも……。

そういえば昔に「私の最初の友達なんだから対等でいいでしょ」と言われていたような……。あれって敬語と敬称は入りませんってことだったような……。それを止める、まあ敬語は出来る範囲で維持していたが、今まさに他人行儀で喋ってしまった。


「っ、もう知らない!」

「サーシャ様、あの……、え?」


 ノエルさーん、そのまま帰ってくれませんかね? という視線を送ると、渋々といった様子で元来た道を戻って行った。

去り際に何か投げられてどっか入ったけど、まあいっか。

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