僕のことを思い出して
今回が初小説になります。素人ですがこれから成長していきたいと思っています。温かい目で見てください。
「行ってきまーす」そう言って家を出て行くこ全てにおいて完璧そうな人間の名は前田道真僕の名前だ。中学2年になったばかりで新しいクラスを楽しみにしてる。
春休みを失った代償は大きいが新クラスになれば最初の一ヶ月は新鮮味だけで押し通せると考えている。通学路をダッシュし学校に着くとクラス表の確認だ。自分の名前以外敢えて目を通さずにクラスに入る。
そこには、見知った顔がいた。「前田!お前春休みの間にデカくなったなー」この父親気取りのバカっぽい奴は親友の白本だ。幼稚園の頃からずっと一緒の幼なじみだ。
しばらく二人で会話で盛り上がっていると先生が来た。それを合図にさっきまで騒々しかった教室が一瞬で鎮まり各々、自分の席に着いていく。ふと横に目をやると僕の席の隣が空席だったことに気づく。気になるなーと思ったその瞬間勢いよく扉の開く音がした。
クラスメイト全員が扉側に目をやるとそこには髪の毛がとても長い女がいた。先生が気まずそうに「えーっと、吉沢さん?まだ遅刻じゃないから取り敢えず席に座ってね?」というと彼女は顔をニヤつかせながら僕の隣の席に座った。やっぱり隣かぁ…この貞子のような容貌をした女の名前は吉沢絵里。学校では、割と有名人でオカルトオタクとの噂がある。生徒からは貞子と蔑まれけられている。ただ遅刻しない真面目な人間の筈なんだけどな。今日に限って遅刻かよ。
ホームルームが終わると各々が自分の時間を過ごしている。そんな中僕は白本に合流し吉沢についての話をしていた。「いやーお前運がないな」とにやけてくる。「お前人の気持ちを考えろよ。貞子と隣になるとか席替えまで休むわw」と冗談を言っていると後ろから寒気を感じた。ふと振り向くと彼女が自分の席から僕の方をチラチラみてくる。白本もそれに気づいたのかすぐに話題を変えた。その日は配布物を配り先生の話を聞くだけだった。正直貞子と隣になったのはかなりきついけど白本もいるし、嫌いな奴ほぼいないしまぁいいクラスなのかなーと考える今日この日であります。
さて月日が経ち一ヶ月が過ぎようとしていた。普段から誰とでも話せる僕にとって貞子とのコミュニケーションはそこまで難しいものではなかった。貞子はクラスでは、結構浮いていたのだが話て見るとまるで自分と話しているのではと思うほどに思想が合致しておりほんとに話しやすかった。マジでこいつ見た目で損しすぎだろ。
「お前貞子と付き合ってんの?最近ずっと話てんじゃん」そう言ってきたのは白本だった。「そんな訳無いだろw」ここ最近僕は自分でも驚く程に彼女と話し込んでいる。何故ここまで仲良くなってしまったのか、白本によるとクラスメイトからは完全にカップルに見えてしまっているらしい。まぁこれまで女友達と言える人間が居なかった僕にとっては良い進歩ではないのだろうか?
次の日白本は、学校を休んだ。健康な奴なので少し驚いた。今年初めての欠席だ。貞子と仲良くなったとはいえ普段の帰宅は基本的に白本と一緒だったので今日は、一人で下校かぁとか考えていた。すると貞子が「帰る人居ないなら…私と帰らない?」と言ってきた。幸いにもクラスメイトからは何も聞かれていなかった。あいつらに知られると絶対茶化される。一応貞子も気を遣ってくれてるのか、かなりの小声だった。僕も聞かれるのは嫌だったので小声で返事をした。お互いに小声でみんなが居なくなったら帰ろうという話になった。
それまで空き教室で会話をしていた。その時に貞子が、「道真くん…ちょっと帰りに付き合って欲しい場所があるんだけど…」と言ってきた。「別にいいよ」内心これが目的か、と理解した。別にいいんだけど。
放課後から30分が経過した。このくらいの時間になると部活中の人間しか居ないため基本的に誰にもみられることはない。そして貞子が提案した場所に向かった。「貞子〜まだ歩くの?」山を登り1時間くらい歩かされた。体力に自信がない僕にはかなりきついものがあった。そして到着した頃には辺りは薄暗くなっていた。「なぁ、ここって…」そこは崖だった。「少し前の時間なら夕陽でも出てたのかな?」貞子とは思えないはっきりとした声だった。違和感を感じ貞子の方を振り向こうとしたその時、背中を誰かに押された。誰かと言ってもここには僕と貞子しかいないので犯人は一人なのだが。空中に身を出した時、振り返って顔を確認した。その姿を見た瞬間唖然としてしまった。そこにいたのは、女子制服を着て少し不安そうにしている僕だったのだ。鈍い音を立てると、次第に僕の視界は真っ暗になった。
「うぅ〜…」目を覚ますと点滴が目に映った。なんだっけ?確か貞子と一緒に山を登って、それから…あれ?ちょっと記憶が混乱してるぞ?どんどん思い出していく記憶に理解が追いつかない「目を覚ましました!」という女性の声が聞こえてきた。すると黒服に身を包んだ人達が4、5人入ってきた。「異常はないか!?」「昏睡状態から時間も経ってませんし外傷も見当たりません。ですが、記憶の混乱もあるでしょうし暫く時間を置きましょう」この会話を聞く限り謎の人物に突き落とされてから大した時間は経っていないらしい。その言葉を聞くと黒服たちは、すぐ立ち去った。
暫くして女医さんが、「君は、2日前に倒れているのが発見されて今の間昏睡状態だったのよ」と説明した。「どこで倒れていたんですか?」と質問すると部屋の外から「余計な事は吹き込まないようにしてください」と先程の黒服の声がしてきた。その言葉を聞いてこれ以上の会話はしなかった。
一日が経過した。黒服達の尋問が始まった。恐らく彼らは警察か何かだろう。そう思った。だが質問の内容が警察の質問とは思えないような物ばかりだった。僕の通ってる学校やクラス、年齢などの調べれば分かる様な事ばかりなのだ。気絶前の記憶についてだが流石に自分に殺されかけました、なんて言える訳がなかった。なので適当に理由をつけておいた。意識が回復してからは気になる事が幾つかあった。うちの親見舞いにすらこないのは不思議だなとか、この病院の名前を全く知らなかったり。しかし一番気がかりなのは、あの自分の姿だ。あいつはやはり疲労からくる幻覚なのか?まぁこの考えが一番妥当だろうな。
意識回復から3日が経ちとうとう退院することになった。結局2日間は黒服からの意味がわからない質問責め。唯一の安らぎは美人の女医さんとの会話だった。そして病院を出ると見送りにきたのは親でも友達でもなく黒服だった。携帯はないから連絡が取れないとはいえ流石に親に伝わっているよな?少し不安になり黒服に「親には流石に連絡入ってますよね??」と聞いた。すると「車に乗ってください。後で説明します。」と曖昧な返事。怪しみつつもこいつらしか居ないから乗るしかない。僕は車に乗り込んだ。
「到着しました。」という言葉を耳にして僕は目を覚ました。どうやら寝ていたらしい。目にしたのは見たことのない施設だった。警備はとても厳重で軍事基地を思わせる風貌だった。軍事基地の扉が重々しい音をたてて開くと5、6人の警備をつけたとても見覚えのある青年が出てきた。
そこにいたのは齢30は超えている白本の姿だった。
「おまっ…白本…さん…ですか?」驚きの余り心の声が出てしまった。すると白本?は、落ち着いた声で「えぇ私は確かに白本ですが、何故貴方が私の名前を?」すると白本?の隣りにいる黒服が小声で「例の少年です」と教えていた。「あぁ…こいつが…」と落ち着いた声で黒服と会話している。違うな、あれだ、父親か何かだろうな。下の名前で聞こう。うん下の名前で …そこで僕はとても重大な事に気づいた。僕、白本の下の名前知らないわ。ごめん。もう親友名乗るのやめます。てか僕なんで白本の名前を知らないんだ?もう幼稚園からの付き合いじゃん。
そういやなんでなんだろうな…と目の前の光景に唖然としているように見えているであろう僕に向かって「取り敢えず先生と合わせよう。彼女に合わせないことにはまだ何もわからんからな」と言う。黒服が「こっちに来い」と僕を案内する。案内された先はら事務所の様な所についた。そこには20代のとても美人な女性が座っていた。「先生、こいつが例の少年です。色々教えてやってください。私にはめんどくさいです。」何この白本もどき、お前が教えろよ。マジ落ち着いてる白本うぜー、まぁこの先生に教えてもらえるならそれはそれでだけど。
白本もどきが部屋を出てくのを確認すると先生と言われる女性が話を始めた。
「緊張しないで私の質問に答えてね。あ、あと私の名前は、吉沢絵里、よろしくね」
吉沢絵里って聞き覚えあるな
「貴方の名前は、道真くんだね。白本君とは向こうで知り合いだしまぁ省いていいか」
「あの…何の話です?向こうって?」
「白本君何も教えてないのね…ま、彼なら仕方ないか。んじゃ説明するわね。この世にはね2つの世界があるの。正確に言えば私達が観測した世界が2つある、他にもあるかも知れない。そしてこの世界はね、貴方が生まれた世界じゃないの。」
何言ってんのこの先生。頭おかしいのか?なんて思ったが彼女があまりに真剣に話す物だからつい聞いてしまう。
「この世界と貴方の世界は、多くの類似点が見られたの。この世界に存在している人間は大体向こうにもいるわ。ただどういった人生を送るのかとか年齢とかはかなり異なったりするわね。それによって人との関係性が変わってくるけど周りにいる人間はほぼ同じって言うことが今わかってることかな?私達は向こうの世界のことをパラレルワールドと呼んでるわ」
「じゃあこっちの世界の自分はどこなんです?」
「ここからが本題ね。こっちの世界の前田道真君は、ね…このパラレルワールドの研究の第一人者なの。」
「ん?第一人者って結構凄いんじゃないですか、もしかしてこの世界の俺って有名人?」
冗談じみた感じで少し笑ってみた。
「ええ、それはもう戦争事業の第一人者と一般人には認識されて忌み嫌われる存在となってるわ」
ただ帰ってくる答えがあまりに予想外すぎて少し怖くなってきた。
「どうしてパラレルワールドと戦争に関係性が?」
「向こうとこっちを繋ぐゲートがあるの。そのゲートを繋ぐエネルギーが永久機関の製造を理論上可能にしてしまうみたいでそれを求めて色んな国が取り合いを始めちゃってね。何せゲートが一つしか見つかってないものだからみんな我先にと様々な方法を使って取りに来てるの」
なんでも戦争に発展するんだな、どの世界も。
「そしてこの世界にいた道真君は、この永久機関の製造法を唯一知る人間なの。でも彼はそれを作ろうとは思わなかった。それに痺れを切らした政府が彼の身柄を確保しようとしたの。彼は世界中から狙われる身となったわ。だから彼は最後の手段の逃亡先としてパラレルワールドに逃げたの」
「じゃああの時に見た俺の姿って…こっちの世界の自分自身だったって事ですか?」
先生は肯定すると、同時に不思議そうな顔をしてこう言った
「でも私達は、パラレルワールドの仕組みをほぼ理解していないのよ。だからどうしてこの世界にもう一人の自分を送り込んだか理解できないの。だからどうして貴方がこの世界にきたのか説明してほしいわ」
あの時見た自分の姿と今の話から嘘では無いと確信を得た僕は、全てを話しそうになった。しかし考えてもみろ。こいつらに僕の情報を教えるには僕は、こいつらのことを知らなさ過ぎる。取り敢えず向こうの事を知る所からだ。
「僕の質問に答えてください。そうすれば僕が知る情報を全て教えます。」どうぞ言われたので聞くことにした。「この組織の目的です。というかそもそもこの組織は何なんですか?」
すると柔らかかった彼女の表情が少し硬くなった。
「この組織の目的ね、それは……世界征服よ」
個人的なこだわりに一人称視点を推しました。かなり書きやすかったです。