精霊のもふもふ処方箋
1000文字のおはなしです♪
Kobitoさま主催の『ほっこり童話集』の参加作品になります♪
イラストがあります。
イラストが不要の方は画像表示機能をオフにしてください。
よろしくお願いします。
はじめまして、猫柳の精霊よ。
春にピーナッツの薄皮みたいな蕾から白いもふもふの花穂が顔をだすの。猫のしっぽの様な愛らしい花芽を触るとだれもが癒されるわ。
今日も相談者が私の隣にあるベンチに座ったわ。
「はあ、また面接失敗しちゃったな。このまま就職出来なかったらどうしよう……」
相談者は就職活動に悩んでいるみたいね。
まずは癒してあげようと、もふもふ花芽をスッと相談者に伸ばすことにしましょう。
「実家の猫のしっぽみたい。元気にしてるかな?」
戸惑いながら触れていた相談者は目を閉じてもふもふの感触を楽しむ。
「よし! また頑張ろう」
イラスト/茂木 多弥さま
元気が出たみたいね。
悩める相談者の横にもふもふ花芽の枝をそっと置く。
お部屋に活けてちょうだいね。
貴方のもふもふ処方箋よ。
猫柳の花言葉は『努力が報われる』
希望の会社から内定を貰うのは遠くない未来——
夕方に小さな相談者が私の隣に座る。
「おかあさんなんて大きらい! 私の大好きなワンピースをあげようとするなんてひどいわ!」
イラスト/島猫。さま
相談者はお母さんに怒っている様子。
今にも泣き出しそうな女の子に私のもふもふ花芽をそっと伸ばしましょう。
「わあ! 気持ちいい!」
驚いて涙の引っ込んだ女の子はそっともふもふ花芽に触れる。
優しく指先で撫でると決意が生まれたわ。
「私、家出するの!」
家出しても寂しくないようにもふもふ花芽の詰まったもふもふ箱を相談者の横にコトリと置いたわ。
泣きたい時は手を入れて頂戴ね。すぐに涙を止めるわ。
貴方のもふもふ処方箋です。
猫柳の花言葉は『自由な心』
ワンピースが可愛い鞄に変身して、お母さん大好きと甘えるのは数日後——
明け方にもふもふな相談者が私の上に座る。
「もうあんな若いコにフラフラして!」
相談者はパートナーにご立腹な様子。
爪を立てて枝を引っ掻こうとするので、ゆらゆらともふもふ花芽を揺らす。
目をらんらんと輝かせ、もふもふ花芽に猫パンチを繰り出すと腹立たしさも猫パンチと共に去ったようね。
「不安にさせてごめんにゃ! でもあの猫はキッパリ断ったから安心して欲しいにゃ」
「……ほんとに本当にゃ?」
「君のもふもふな尻尾にしっぽたけなんだにゃ! だから一緒に帰ろう?」
「にゃあ」
あらあら特効薬が来たみたいね?
貴方のもふもふ処方箋は無くて良さそう。
猫柳の花言葉は『気まま』
もふもふな相談者に可愛いもふもふ達が生まれるのは恋の季節のあと——
イラスト/猫じゃらし様
貴方ももふもふ処方箋を貰いたくなったらいつでもいらっしゃい——