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廃棄世界に祝福を。  作者: 蒼月 かなた
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救出後 ※短いです※

 あの後、 塔から降りて皆と合流した。 

 挨拶は不要との言葉を覚えていてくれたらしく、 スカートを摘まんで軽く会釈をするエルナマリアさん。 けれど、 そのささやかな仕草の中に「感謝」 の意志が込められているのが分かるのは流石と言うべきだろうか。 つま先から頭の先まで奇麗に揃っていると言うか、 一本芯が通っていると言うか……。

 自然と皆の雰囲気が綻ぶ。 穏やかな微笑を浮かべている様子が浮かんできそうだ。 

 エルナマリアさんやナイアさんにとって、 ゴツゴツした道なき道を行くのは大変だったと思うけれど、 文句の一つも言わずに良く頑張ってくれたと思う。 

 もう一度あの犬達に遭遇したり(尻尾を巻いて逃げてった…… )、 巡回してた人とニアミスしたりとかもあったのだけれど何とか侵入はバレずにお屋敷まで戻る事が出来た。

 お屋敷の玄関の中ほどで、 ファーリンテ嬢と侍女、 それから護衛の騎士がぶっ倒れてたけれど無視して進む。 ルドさんは苦々しい感じで睨んでたけどね。

 あの様子じゃあタンコブか痣の一つも出来てそうだなぁと思ったけれど、 特に可哀想だとは思わなかった。 やっぱり、 エルナマリアさんやナイアさんにした事を知ってる分、 同情のしようがないなぁと思ってしまうのが本音だったりする。

 隠し通路を通って、 廃屋に戻れた所で大分安心できたと思う。 取り敢えず、 追手の気配も無いしね。

 塔からエルナマリアさん達を誘拐きゅうしゅつした犯人が黒竜騎士団ウチだとバレる事は万が一にも無いと言えるので後は予定通りエルナマリアさんとナイアさんをアイオロス様の所に送り届ければ任務完了だ。

 ルドさんがエルナマリアさんを口説き落せるかどうかは、 今後の努力次第でしょう。

 何度もお礼を言う二人を馬車に押し込めて、 ほっと一息。 御者台には着替えたルドさんが座った。 いかにも御者ですって感じの服に眼深く帽子をかぶっているので、 ぱっと見た位じゃあルドさんだと気付く人間は居ないだろう。

 着替えたのは馬車の家紋が隠されているのはまだしも、 流石に黒装束の人間が御す馬車がフレッチェン伯爵家に行くのは目立つだろうという事から。

 ナイアさんは、 このままエルナマリアさん付きの侍女となる。 

 エルナマリアさんは逃げる事には同意しているんだけれど、 まだアイオロス様の養女になる事には躊躇いがあるようなので、 そちらはアイオロス様からの説得に委ねる事になっていた。

 『そう言った交渉事は得意なのでね。 任せて貰って大丈夫ですよ』 と言われた事をユーリから聞いている。 確かに得意そうな感じはあるので、 そこは任せても大丈夫だろうと思っている。

 正直、 追手に怯える事無く、 陽のあたる世界で普通に暮らすにはアイオロス様の養女になって新しい身分を手に入れるのが一番手っ取り早いと思うんだけれどね。

 エルナマリアさんにとっては、 結婚をしていない男女の間に産まれた自分は伯爵家の養女に相応しく無いと言うのが一番の理由らしい。

 その事実を捻じ曲げようとしている訳なのだけれど、 亡くなったお母さんを慕っているエルナマリアさんにとっては、 そこも気にかかっているのかも。

 私達は、 エルナマリアさんの乗った馬車を見送った後―― 着替えると、 それぞれ夜の闇の中へと歩き出した……。 


7月31日です…… 遅い更新でも読んで下さり有難うございます。 

この後、 長くはありませんが、 もう一話更新しますので宜しくお願いします。

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