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廃棄世界に祝福を。  作者: 蒼月 かなた
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おまけの話 ※短いです※

 イェルさんと分かれて、 帰りにシッカリ銀鎖を回収―― ユーリは少し微妙な顔をしていたけれど、 これが有ると無いとじゃあ安心感が違う。

 ちなみに今は付き合ってくれたイオと遅めの昼ごはんをして別れた所だ。 ちなみに、 イオの分はユーリの奢りです。

 ユーリは私の分も出してくれようとしたのだけれど、 奢られるような理由も無いし断った。 デートしている訳じゃ無いんだし。 

 そうしたら、 イオに「ねーちゃん、 男心を察してやれよ…… 兄ちゃんが可哀想だろう?」 と何故か小声で言われた。 イオはユーリが私の事を好きだとでも思ってるんだろうか。 ―― この顔じゃあ思ってるんだろうなぁ……。 今度会った時にでも、 あり得ないって事を言い聞かせないと……。


 「さて、 どうせこの後は暇だろう? 」

 

 「へ? 」


 銀鎖を袖口に仕込んでいたら、 ユーリにそんな事を言われた。 確かにこの後、 特に用事がある訳では無いけれど―― 仕事や何かが関わらない状態で二人っきりになるのは正直困る。

 ユーリの所為で、 恋心なんて恥ずかしいものを自覚してしまったおかげで、 どうにも私の挙動が可笑しくなる事があるからだ。

 今までなら、 そこまで動揺したりしなかったスキンシップにも固まったりとか―― 飛び退いたりとかである―― はぁ…… 何やってんだろうね。 私。 

 一応、 仕事の時とかは大丈夫なんだけど―― 仕事の事を考えてればどうにかなるし。

 けど、 さっきも死角から走ってきた子供にぶつかられて、 転びそうになった所を抱きとめられて…… 思わずユーリを突き放して結局、 尻もちをついたり―― とか―― 突然の事には反射的に反応してしまう自分が居る…… ユーリじゃなけりゃ相手を殴って済む話なのにもどかしい。

 ユーリはそんな私の事を責めたりしないのは有難いけど、 どこか面白がってる感じがするから腹が立つし。 

 かと思えば、 二人で居る時にユーリが何とも言えない表情で見つめて来る事も――。

 何か言いたい事があるのかな? と思ったりもするのだけれど、 聞いたらマズイ気がしてその視線に気付かない振りをする日々。

 こんな状態で一緒にどこかに行くとか―― その―― 二人っきりでデート? みたいな事をすれば自分が何をやらかすか…… 分かったもんじゃ無い訳だ。 さっきまではほら―― イオと合流する予定もあったし? 仕事の延長みたいな感じだったし! ダメだ。 意識したら余計に挙動不審になりそうだ。

 適当な理由を付けて断ろうと思った瞬間、 ユーリに手を繋がれて固まった。 そのまま手を引かれて混乱するままに歩きだす。 思考は上滑りを繰り返し、 取りとめなく過ぎて行く。

 えぇっと?? これはどうすれば良いの??? 振りほどくべきだと思う自分と、 この手を心地よいと思う自分が居て、 もう訳が分からない。


 「少し、 付き合え」


 ユーリはそう言うとサッサと街を出て、 王都の端にある崖の所まで私の事を連れてきた。 この場所には覚えがある。 ユーリが一人で外の巡回に行く時にヴェルを呼ぶ場所だ。


 ピュイッ


 ユーリが指笛を鳴らすと、 どこからともなくヴェルが姿を現した。 今更ながら、 竜の浮島で暮らしているヴェルが何でこんな短時間でユーリの呼び掛けに答えられるのかを疑問に思った。

 まるで、 そんな私の考えを察したようにユーリが私の方を見る。


 「何でヴェルが居るのかって顔だな? 」


 「…… 良く分かりましたね」


 「そりゃあな。 そんな顔してれば何となく分かる…… ヴェルが先祖がえりなのは理解しているよな? まぁ、 あれだ…… 念話ってヤツだよ。 絆を結んでから、 呼びかければ互いに会話が出来る。 疲れるらしいからしょっちゅうする訳じゃ無いが…… リゼがクロ達と離れていても話せるのに似てるな」


 そんな顔ってどんな顔だろう。 そう思いながらも、 ユーリのその話を聞いて私は納得した。 絆の効果として心で話せるのならば、 離れた所に居るはずのヴェルと予定を合わす事が出来ると言う訳だ。 

 緊急時には通用しないけれどね。

 指笛で呼んだのは、 疲れる念話をちょっとした事で使わないようにしていると言う事かな?


 『ガァ』


 どこかニヤニヤと笑っているヴェルをひと睨み。 何でニヤニヤしてるのかと思ったら、 ユーリと繋いだままになってた手をチラリと見られた。


 「んなっ! 」


 視線の意味に気が付いて、 慌ててユーリの手を振りほどこうとした訳だけど…… ユーリは楽しそうに目を細めて私の手を離しちゃあくれなかった。 何この羞恥プレイみたいなヤツ。

 結局、 ユーリが私の手を離したのは、 傍の岩陰に隠された鞍と手綱をヴェルに着ける為にだ。

 その後、 通常サイズじゃないヴェルだからこそ出来る二人乗りで、 空中散歩に連れて行かれたんだけど……。


 「オイ、 その状態は流石に落ちるぞ?? 」


 「大丈夫です! 足でしっかり挟んでるんで!! 」


 ユーリのお気に入りの風景が見れる場所を案内されました。 ただ一切覚えちゃいない。 

 恥ずかしくてユーリの腰にしっかりと抱きつけなかった結果、 足に力を入れて鞍を挟むしか無く…… 落されないように頑張っていたからね! 正直景色を堪能する余裕は無かった。

 次の日、 何年ぶりかの筋肉痛……。 少しだけギコチナイ歩き方をする私を見て、 ユーリに馬鹿だろうって顔をされたので、 腹を殴っておきました。 …… 腹筋が硬い所為で、 私の手の方が痛かったけどね!

済みません…… 本編予定だった筈なのに、 オマケが入りました。

次回こそは本編です。

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