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廃棄世界に祝福を。  作者: 蒼月 かなた
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おまけの話 ※短いです※

大変遅くなって申し訳ありません(泣)

 「何て言うか―― 悪かった」


 「―― 例の件なら、 もう良いですよ? ヴァイさんも苦労したみたいですし」


 シオシオと、 まるで萎びた野菜みたいな顔をして、 ヴァイさんが私に話しかけてきたのは飲み会の次の日の昼休み。 どうやら、 私が一人になるのを見計らって話かけて来たらしい。

 私はと言えば、 昨日ユーリの所為でお酒を飲んでしまったが故に起きたコトの所為でヴァイさんの告白もどきの事は頭からスっ飛んでいたりした訳ですが……。 駄目だ―― 朝の事は思い出すな私。 封印だ。 封印――。


 「自分の気持ちも良く分かんねーうちに軽率だったと思う」


 物凄い勢いで頭を下げられて、 私は苦笑した。

 告白(?)されて謝られるとか、 貴重な経験な気がする。 あの時は、 ヴァイさんには申し訳ないけど『何て事してくれたんだ! 』 って怒りしかなかったけれど、 まぁ、 何だか丸く収まったみたいだし、 もういっかなって言うのが正直な所。

 というか、 冷静に考えると、 ヴァイさんのその私に対する『恋愛感情的なナニカ』 はやっぱり恋とかじゃ無いんじゃ無いかと。  

 『ゴミ溜騎士団』 の汚名をすすぐ事に一役買った私に対する感情を、 そっち方面の感情と勘違いしたんじゃないかなぁと思う訳ですよ。 正直、 だったら良いなって言う希望的観測が入ってる事は否めないけれどね。 


 「それに関しては、 馬鹿ですか? って感想しか無いですけど、 ヴァイさんのアレより、 ユーリが変になった方が困ったと言うか…… 」


 「ぐっ―― それに関しては馬鹿と言われても反論できねぇ…… それにあんな団長は二度とごめんだ…… 飲み会の日、 俺―― 昼間リゼに何度か話しかけようとしてたんだぜ? 謝ろうと思ってさ…… 気付いてたか? 」


 目を逸らして、 言うヴァイさんが何とも言えない複雑そうな顔をしてそう話す。


 「あぁ…… 挙動不審で不審者にしか見えなかったアレですか? 」

 

 私は、 昨日の事を思い出してみた……。

 もしかしなくてもアレだろうなぁ。 ヴァイさん、 何て言うか…… 私に近付こうとして、 ビクっとなってから―― きょろきょろと周囲を見回してたんだよね。 その後、 突然首を押さえて呻き、 最終的に血の気の引いた顔をしながら去って行くという…… 奇行としか思えない行動をしてた訳だ。


 「リゼの傍に行くと悪寒がすんだよ…… 団長の姿は見えないのによ―― 団長に見られてるって感じっつーか…… 分かるか? 」


 ぶるっと、 身を震わせた後―― 囁くように言うヴァイさんの顔色は悪い。 その時の感覚をリアルに思い出してるようだ。


 「―― 何です、 そのオカルト的な超常現象は…… 」


 ヴァイさんの罪悪感がそう思わせてるだけなんじゃないのかと、 苦笑しながらそう聞き返せば、 至って真剣な表情でヴァイさんが周囲を見回した。

 まるで、 話していたら、 昨日と同じようにユーリの視線を感じるんじゃないかって怯えているかのように……。 


 「その威圧感が半端無いのなんの―― 威圧感って言うより、 あれは殺気だ。 俺、 白昼の起きてる中、 自分が死ぬ幻影見たぜ。 俯瞰で自分を見てる俺がいるんだよ。 んで、 俺の身体の感覚がリンクしててよ…… 視線を感じて―― 殺気でよ…… 首がさ――? 斬られて落ちて―― あ、 俺死んだ―― みたいな感覚に陥るっつーか…… 」


 「―― シャレになんないんですけど…… 今は大丈夫なんですか? 」


 血の気の引いた顔をしたヴァイさんの言葉に、 私は引き攣った顔をして後じさった。 

 超常現象どころの騒ぎじゃ無い。 ナニソレコワイ。 それって、 あの挙動不審だった回数だけ―― ヴァイさんは死を疑似体験してたって事だよね?

 引き攣りながらも、 気になってもう大丈夫なのかと確認すれば、 晴れやかな顔で何度も頷かれた。


 「おう。 今は何も感じねーな。 ―― 俺、 本気で生きた心地がしなかった。 マジで団長が元に戻ってくれて嬉しいぜ」


 泣きそうな顔をしてらっしゃる……。 よっぽど嬉しかったらしい。 まぁ、 そんな感覚から解放されれば嬉しいに決まっているけど。

 「俺―― 生きてる…… 生き残ってる」―― 飲み会の時のヴァイさんの言葉が蘇る。 大げさな事を言ってるなぁ、 と思っていたのだけど、 大げさでも何でも無かったわけだ。


 「それに団長から聞いちまったしな―― まぁ、 予想はついてたケドよ…… 俺が入る余地とか無いのも理解―― って何でも無い! …… 何でも無いぞ? 」


 急にキョロキョロしだしたヴァイさん―― どうしたんだろう? ユーリの過去の話が何だって言うのか。 その後、 頭を抱えて「あ―― 」 とか「う―― 」 とか言ってた訳ですが……。 

 結局ヴァイさんは、 何故かオドオドと落ち着かない状態になった後、 『じゃ、 じゃあな! 』 とまた挙動不審な様子を見せて走り去って行った。 …… トイレかな……。

この後、 本編を一話―― 投稿予定です。

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