合間にやるのは無理なので。
何とか…… 六月中(汗)短めです……。
さて、 公務の合間に飛竜を狩りに行く事になった訳ですが……。 まぁ、 調教師さんじゃないんで、 狩るって言うよりは絆を結ぶって方が正しいんだけど。 どちらにしても合間にやるのは無理でした。
本来なら公務扱いにしたい所ではあるのだけれど、 飛竜を狩りに行きたい(ようするにお金が無い) のは黒竜騎士団の事情。
仕事を放ってまでやる事は流石にできないので、 お休みの日に飛竜を借りて狩りに行く事に。
もちろん、 個人のお休みなので強制ではなく参加したい人だけで。
いやぁ、 ウチの団員―― お休みの日は遊び倒しに行くか、 飲みに行くか引き籠るかとかまぁ色々いた訳なんですが…… ユーリの『近所の巡回に行きたい奴だけ飛竜を狩りに行くぞ』 の一言で全員参加が決定しましたよ?
よっぽど嬉しかったのか、 ヴァイさんは予想通りの弾けっぷりで、 そう言う事を顔にあまり出さなさそうなエイノさんもニヤニヤ。 アスさんに至っては初めて見る満面の笑みに失礼ながら年下の―― 弟でも見ているような気持ちになりましたとも。
比較的落ち着いていたのはルドさんとガルヴさんだけど、 ルドさんがガルヴさんの陰でガッツポーズをしたのには思わず笑ってしまった。 とっても嬉しかったようです。
騎士団って言ったらやっぱり飛竜に騎乗してこそってイメージがあるしね。 『騎竜』 はやっぱり、 一般の人が使う飛竜と違って迫力があって格好良い。
「これから行く場所の飛竜は、 農場で生まれ育ったものより気性が荒いものが多い。 そのかわり、 一度主と定めれば一生ものの絆を結べる」
郊外の野っ原でひと際大きなユーリの騎竜が黒い鱗を陽光に煌めかせて欠伸した。
そのちょっとした動作に借りて来た飛竜がビクビクオドオドと挙動不審になる。 まぁ、 気持ちは分からんでも無い。 だって小さめの古代竜かって位でかいんだもの。 借りて来た飛竜がまるで子供みたいだ。
遠目に見た時はそれ程感じなかったけれど、 こうして見れば圧迫感が半端ない。
私は一応知ってたからそれ程驚きはしなかったけれど、 初めてユーリの騎竜をみた団員達はポカンと間抜けなくらい口を開けてたっけ。 こんなに立派な野生の飛竜はそうそういないと思う。
ちなみにユーリの騎竜の名前、 ヴェルって呼んでたけど正式名称はヴェルーガと言うそうです。 ユーリはどうやら闘神ヴェルガが好きらしい。 まぁ、 この世界を救ったヴェルガは基本的に神様信仰とは無縁のこの世界の住人に、 唯一人気がある神様ではあるのだけれどね。
「―― 他の飛竜の住処にいるヤツより本当に気性が荒いのが多いからな? 学院にいた訓練用の飛竜とかを考えてると大怪我をするぞ」
念を押すようにユーリに言われて、 皆真剣な顔で頷いた。
ユーリのヴェルはそこに居た群れのボスだそうで、 最悪、 威嚇が効くから死ぬような事はなかろうという判断もあってその住処に向かう事にしたらしい。
現役でボスをしてるからユーリは竜舎にヴェルを繋いでないようだ。 まぁ、 そもそも入りきるサイズじゃないけれど。
てか、 その竜の住処って指笛一つですぐ来れる距離じゃなさそうなんだけど。 不思議に思ってそう聞けば、 何となぁくお互い用がある時は分かるらしい。 強い絆を結べればそんな事もあるんだろうか。
ボスが留守の時はセカンドと呼ばれるボスに次ぐ地位の竜が留守を守ってるそうです。
ヴェルの所は喧嘩っ早いのが多いらしいので、 他の浮島にいる竜との縄張り争いとかも絶えないらしい。
そんな気性が荒い竜達の所に、 ビクビクオドオドした飛竜を連れてっても大丈夫なのか?
大丈夫じゃないです。 そのまま、 一緒に置いといたらストレスで体調を崩すと思う。 流石にそれは可哀想なので、 呼来と呼ばれる小さな笛で呼ぶまで自由にしてて貰う予定だ。
浮島から離れて遊んでてくれれば、 過剰なストレスは避けられるだろう。
「本来なら、 安全地帯を確保して、 一週間位泊まり込みして絆を結びたい所なんだがな…… 」
調教師は別として、 一般人が野生の飛竜と絆を結ぼうとする場合、 まず気に入った飛竜に慣れて貰う事から始める事が多い。 彼等は頭が良いので、 縄張りを荒らしに来たのではなく友誼を結びに来たのだと理解してもらうためだ。
その後は飛竜の性格によって大分変って来る。 ただじっと傍に居て互いを理解し合おうとするもの―― あるいは狩ってきた獲物を分け与えて同じものを食べる事で絆を結ぼうとするもの―― またはその逆で、 獲物を狩って来させるもの―― 試すように、 隠れている自分を探させるもの――
そして、 闘って互いの力を示すもの。
実は最後のコレが一番単純で、 一番早い絆の結び方であると私は思う。
ユーリは初めてヴェルに出会った瞬間にコイツと絆を結ぶには捩じ伏せる必要性があると感じたらしく、 そのまま闘い始めたらしい。
コレと出会って、 しょっぱなから戦闘しようと思うユーリはどうかしてるんじゃなかろうか。
けれどその必要性は確かにあったらしく、 一晩中闘い続けた後―― 勝利を収めヴェルに主として認めて貰えたらしい。
ヴェルは大分悔しそうだったとユーリは言うんだけど―― 初めてその話を聞いた時は負けて悔しがるなんて随分可愛い所がある飛竜だなぁと思ったけれど、 実際に会ってみるとあまり可愛らしくない性格のようだ。
だってコイツ、 ユーリに呼ばれてここに飛んで来た時、 私達を見て鼻で笑ったんだもの。
『フッ』 ってさ。 まだまだ殻のついたヒヨコだな―― と言われた気分になったのは気のせいか。
そんなヴェルですが、 さっきから随分と私の事を凝視してくる。 流石に気になって、 見返してみたら…… じーっと視線を合わせて逸らさない。 ヴェルは最初驚いたような顔をしたものの、 興味を持ったらしくそのまま見つめてくる。 それに段々と圧力が加わり、 互いに『やるのかコラ』 といった雰囲気になってしまった―― ヴェルは大分好戦的なようだ。
「痛っ 」
そんな事をしてたら呆れ顔のユーリに頭を叩かれましたよ。 酷い。 最初にチョッカイかけて来たのはヴェルの方なのに。
そんな私を見て、 ヴェルが意地悪そうな笑みを浮かべる――。
「副団長がちゃんと話を聞かずにどうする。 ――お前もだヴェル。 リゼで遊ぶな」
ユーリに叩かれヴェルがグフグフと楽しそうな声で笑った。 どうやら本気でからかわれていたらしい。
片眼を瞑って多分―― ヴェルに謝られて思わず苦笑する。 可愛くない性格って言ったのを訂正―― 意外とお茶目な性格かもしれない。
「ちょっと! いきなり不穏な空気出さないでよ…… どうしようかと思っちゃったじゃない」
ルドさんが少し怒ったような声を出せば、 他の皆にもウンウンと頷かれる。
「まったくだ。 ただでさえコイツは威圧感があるのに、 今ので他の飛竜が余計に怯えちまっただろ」
ヴァイさんに言われて良く見れば、 借りて来た飛竜達がひと固まりの団子になってプルプル震えている―― これは…… 可哀想な事をしちゃったかも。 流石に反省する気持ちになった。
「…… 随分と気に入られたみたいだな」
苦笑したユーリにそう言われて首をかしげる。 特に気に入られるような事はしてなかったと思うのだけど―― にらめっこは気に入られたことになるのかな。 けど言われてみれば不思議と、 他にはチョッカイ出すそぶりもない。
「何でですかね」
「さてな。 話でも出来れば理由も分かるだろうけどな。 けど、 ヴェルが俺以外の誰かをこんなに気に入るなんて珍しいと思うぞ」
ユーリにそう言われてヴェルを見れば、 ニヤリと笑われた。 本当に気に入られているらしい。 それにしても、 随分表情が豊かだなぁ……。 まるで、 人間みたい。
取りあえずは、 ヴェルに好かれて悪い気はしないし―― 何より嫌われるよりかは、 なんぼか良い。
あんまり酷くからかわれるようだと困るけど、 副団長としても団長の騎竜に気に入られてる方がトラブルとかも無さそうで良いよね。
「取り敢えずは、 編隊か」
考えるようにして私達を見るユーリ。 頭の中で誰を何処に配置するのかを考えているらしい。
飛行形態は基本デルタと呼ばれる逆V字の形が取られる事が多い。 良く渡り鳥なんかがしている形態だ。
翼端渦流と呼ばれる空気の流れを利用したもので、 体力の多い騎竜を先頭に配置し、 後ろに着く騎竜が体力を温存しながら飛べるようにする形態である。 余程の理由がない限り団長が先頭を切る事が多い。
そして確率は低いものの、 空中で魔物と接敵する事や遭遇戦などの戦闘になる事もあるので後方からの攻撃に備えて左翼、 右翼共に殿はある程度戦闘力があるものが着く事になっている。
「左翼一番にルカルド。 二番にマイアス。 三番にリゼ。 右翼一番にエイノルト。 二番にガルヴ。 三番にヴァイノスで行くぞ」
こうしてユーリが皆の事を名前で呼ぶと何だか嬉しくなってきた。 少し前のあのギスギスした関係が嘘のようだ。
皆、 全てに納得した訳じゃ無いとは思うんだけど…… 以前はユーリが意地悪や皆の力を侮ってるから今まで関わって来なかったのじゃないか―― とか―― だから騎竜を与えず、 一人で巡回を続けてるんじゃないかっていうように感じているように見えた。 だからこそ、 団員はユーリを信用してなかったし、 団長への不信から不貞腐れて悪い評判しか立たなくなった訳だけど。
「了解」
ユーリの編隊に一切文句も出ず各々、 了解の意を示すと、 それぞれの飛竜に騎乗していく。
私が今日の相方とするのは、 露草色の雄の飛竜。 ルトカと言う子だ。 宜しくというように首筋を軽く叩くと、 クルルと声を出して挨拶してくれた。
ユーリが飛び立ち団員達が後に続く。 ルトカが薄い被膜の張った翼を広げると勢い良く羽ばたいた。
学院にいた時に練習で乗って以来の騎乗だ。 久しぶりだったから少し緊張はしたものの、 さほど苦もなく手綱を捌く事ができた。 何だかんだで身体がしっかり覚えていてくれたらしい。
ユーリは慣れたもので、 早々に飛ぶのに良い風を捕まえたようだ。 飛行速度が一気に上がる。
下方に見える小さな浮島の池が、 さざ波立ちキラキラと陽光を反射して揺らめいた。
空は青く高い。 飛ぶのには最高の日よりのようだ。
これがお弁当を持ってピクニックとかだったら無茶苦茶楽しそう。 休日に、 武装して飛竜を狩りに行く騎士団なんてきっとウチ位のものだろう。
少し前の団員達なら、 もしかしたら今日一緒に来なかったかもしれない。
もしくは来ても不本意だったり不服そうだったりしただろう。
けれど、 今の皆の中にある気持ちはワクワクした期待感とかどんな飛竜に出会えるかという楽しみって感じの気持ちのほうが強いと思う。
カザルの件が、 ユーリと皆を近づけたのだと思えば―― あの惨状を考えると不謹慎かなとも思うけど正直嬉しい―― 昨日の訓練の後、 立ち去るユーリの背にルドさんが「いつか信用して貰えるのかしらね」 と呟いた事からもユーリに対する気持ちが以前とは違うんだと…… 信頼関係が出来てきてるんだと思わせた。
後はユーリが過去の出来事を皆に話す事で、 自分と向き合えるようになれれば言う事無いんだけど――。
「そうそう、 上手くは行かないよね」
『何か言ったか? 』
小さい声で呟いたつもりだったんだけど、 ユーリには聞こえてしまったらしい。 耳元に付けられた涙型の耳飾りから声が聞こえた。
「済みません、 独り言です。 ―― 天気が良くてあんまりにも気持ちが良かったもので」
騎竜がいない黒竜騎士団では無用の長物だったために、 仕舞い込まれて埃を被っていた通信用の耳飾りを引っ張り出して来たのはこの計画が決まってからすぐだ。
この耳飾りに使われている石は普通の石では無い。 通常の石より重く、 脆いのに堅いという相反する特性を持つため扱いは難しいという面倒なシロモノだ。 どうすれば細工できるような強度に石を保てるのか知るのは、 細工師の中でも竜呼と呼ばれる一族だけらしい。
この石の正体は死んだ飛竜や騎竜の亡骸から取り出した結晶化した竜の心臓である。 その結晶は生きている竜の心臓の中にも含まれていて、 共鳴させる事によって竜は飛行中も仲間と会話をする。 それを利用したのがこの耳飾りだ。
ただし耳飾りは、 小さく砕かれた石を嵌め込んで作られた物であるが為に近くに竜がいないと使えないという欠点もあった。 大きく加工出来ないのかとも思うけれど、 強度を出す為の条件の一つがこの小ささらしいのでどうしようもない。
『あぁ―― 違いない。 いっそ今日はこのまま散歩にするか』
顔が見えたらきっと真顔で言ってるんだろうなぁ…… そんな口調でユーリがそんなご無体な事を言った。 私は冗談だって言うのは分かるんだけど、 洒落にならないから止めて欲しい。
ユーリは、 夜寝られないからって仕事中に昼寝してる前科があるんだからね。 本気に取られても知らないよ?
『ちょっ! 勘弁しろよな。 確かに凄ぇいい感じだけども…… 俺は、 俺の相棒を捕まえに行くんだからな』
言わんこっちゃない。 慌てた様子のヴァイさんが声を上げる。 ほら―― 信じちゃったじゃないか。
ヴァイさん昨日眠れなかったって言うくらいに楽しみにしてたんだよ。 今にも編隊崩してユーリの所に突進しそうな勢いだ。
それを察したユーリが笑いを噛み殺して振り返った。
『冗談だ』
所々に笑いを滲ませて、 ユーリが呟く。 今にも突っ込みそうなヴァイさんにアイコンタクトと手信号で「編隊を崩すな」 と言いながら、 私は軽くユーリを睨んだ。
休日とは言え、 団長の元で編隊飛行をしてるのだ。 勝手な行動が許されるはずもない。
編隊を無視して、 ユーリに突っかかるなんて事をしたらソレを任務中にもやりかねないと判断せざるおえなくなるからね。 ヴァイさんの性格分かってるんだから、 あんまりからかわないで欲しい。
『―― 馬っ鹿ねぇ。 いくら団長だって、 今のあんたにそんなことしたら暴れるだろうって位の想像はつくわよ』
ブスっとしながらも何とか落ち着きを取り戻したヴァイさんに、 ルドさんが余計なひと言を…… 相手がルドさんなせいか、 ヴァイさんは言い返すのが馬鹿らしいと思ったらしい。 そのまま憮然とした表情で黙りこんだ。 そんなやり取りをエイノさんが苦笑してるのが見える。
『そんなに言わなくても良いんじゃないか? ルドだって他のみんなだって楽しみにしてただろう? ならヴァイの気持ちだって分かるだろうに』
見かねたガルヴさんがそう言って、 ルドさんを窘める。 ガルヴさんの言葉に、 思い当たる節があるのかエイノさんが目を逸らした。 アスさんはガルヴさんに同意るすようにウンウンと頷いている。
『うっ―― 余計なこと言わなくてもいいわよ。 ガルヴ』
あたしは別に楽しみにしてないんだからね! と言ったポーズを取ってたルドさんが、 痛いところを突かれたみたいな顔をしてソッポを向いた。 どうやら、 あのガッツポーズをガルヴさんも目撃していたらしい。 ―― ヴァイさんに負けず劣らず楽しみにしてそうに見えたもんねぇ。
『余計な事ない。 皆楽しみにしてた。 それでいいと思う』
アスさんがそう言ってキラキラした目でルドさんを見た。 あの満面の笑顔といい、 楽しみな時にはこんな顔になるんだねぇアスさん。 頬が紅潮してて―― なんというか初々しい? その目の下には薄っすらとしたクマが浮いてるからアスさんもワクワクして寝れなかったのかもしれない。
そんな純粋な目でアスさんに言われて、 眩しい者を見るような顔をした後ルドさんは嘆息した。
『ふふっ。 何だか自分が汚れてるような気持ちになったわ』
若干ルドさんの目が死んでるように見えるのは、 気のせいじゃないのかもしれない。 思った以上にメンタルに刺さるものがあったようだ。 汚れてるってそんな大げさな…… ただちょっと素直に「楽しみ」 って言えなかっただけなのにね。
団員達のやり取りを笑顔で見ているユーリの目は優しい。 こんなちょっとしたやり取りも近くに居なければ知ることが無いものだ。 胸が、 ジンワリと温かくなる。
そんな事を考えていた時、 ヴァイさんの乗った飛竜が右側に首を振った。
『右後方、 影あり』
ヴァイさんのその声に皆が気を引き締める。 その言葉から半拍遅れて飛竜のルトカが少し反応を示した。
右後方をよくよく見れば、 遠くに見える小さく細長い影―― それが身をくねらせて飛んでいる。
ルトカがが反応した後、 特に警戒してないから危険種ではないだろう。
『…… あの飛び方は飛び百足だな…… 距離もあるし、 こちらに来る進路でもない。 基本的には大人しい蟲だから問題ない』
ユーリの言葉に私は警戒を解いた。 皆の空気も緩む。 危険種の多い空域でも無い限り、 四六時中警戒なんてしていられないからね。 先が長いのに精神力の無駄遣いだ。
飛び百足って言うのは、 全長最大6メトル位になる蟲で百足に似てる事からそう呼ばれている。
ただし、 百足の足の部分がトンボの羽みたいなのがズラッと並んでるんだけど。
繁殖期になると、 それ―― 絡まって解けないんじゃないの? って言いたくなる位にこんがらがって空を飛んでる事が多い。 羽は大丈夫なんだろうかといつも思うんだけど、 その後無事な姿を見る訳だからきっと柔軟性に富んだ頑丈な羽なんだろう。
『あんな小さいの、 よく見つけたわね』
ルドさんがそう言ってヴァイさんを見た。
『先に飛竜が反応したんだよ。 さすがは竜種。 おかげで助かるぜ』
ヴァイさんは肩を竦めてからそう言うと、 ニヤリと笑う。 どうやらさっきの事はもう気にしてないらしい。 ルドさんがヴァイさんに話しかけたのも、 彼なりの謝罪みたいなものなのかもしれない。 実にさっぱりしたものだ。
飛竜は一説によると超音波で周囲の敵の有無を確認していると言われている。 私達よりもよっぽど索敵能力に優れている訳だ。 その飛竜によって反応の仕方は様々。 声を上げたり、 首を振ったり―― ちなみにルトカはどうやら敵のいる方向の筋肉が緊張する性質らしい。 右足が一瞬キュッと締まったからね。 ―― その筋肉の動きでそれと分かった。
性格も、 索敵した時の反応も様々に違って面白い。 飛竜と話せたらとても楽しそうな気がする。
私の相棒になってくれる騎竜はどんなコだろう。 生死を共にするのだから、 できれば心許せる友になれると良い。
人懐っこいルトカがクルクルと声を出す。 その首を撫でてやりながら、 私はまだ見ぬその友へ思いを馳せた。
フラグを少しずつ回収したいと思いつつも中々回収できない今日この頃――。
とりあえず、 飛竜をゲットしに行く事に。
中々進まない状況で申し訳ないですが、 次回は飛竜の縄張りに突入です。 誰がとは言いませんが、 あっさり絆を結んだり―― まったく絆を結べなかったりする予定です(汗)




