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廃棄世界に祝福を。  作者: 蒼月 かなた
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呪いの類かもしれない。

カザル編も後半に入りました。

 再びローブをかぶって外をひた走る。

外はもう人通りがある時間だ。 目だたないように、 走るイオ少年の後を追う。


 「名前、 言ってなかったよな。 俺の名前はイオニス。 皆にはイオって呼ばれてる」


 前を向いたまま、 イオ少年改め…… イオがそう言った。

イオって呼ばれているのは知ってはいたけれど、 それはそれ。

私もあらためて自己紹介をした。 私の口調は相変わらず砕けたままだ。 

なるべく気を許して貰えるようにと思ってした事だけど、 今更丁寧口調に戻すのも変なのでそのまま話す。

 

 「宜しく、 イオ。 私はリゼッタ。 団長はもういいよね? 」


 ユーリはさっき、 フルネームで自己紹介したしね。

イオはちょっと、 私を振りかえっておかしそうに笑った。

 

 「おう。 リゼッタねーちゃんな? …… 明るい所で見ると、 ちゃんと年上に見えるなぁ」


 「…… 正真正銘年上だからね。 イオはいくつ? 」


 イオの言葉に何とも言えない気持ちになる……。 年上に見えた事を喜ぶべきなんだろうけど。

暗い所だと年下に見えたんじゃなかろうな。 

 隣を走るユーリが笑いを堪えた気配に少しイラッとする。


 「七歳位じゃね」


 痩せてはいるものの、 ひょろりと長い手足。 見た目的にはもう少し年上かと思った。

まぁ、イオも正確な年は良く分からないみたいだけれど。


 「年の割にしっかりしてるな」

 

 ユーリも、 同じように思ったのだろうか。 その顔には軽い驚きが見てとれる。


 「しっかりしてなかったら死んじまってるよ。 その、 オウテイデンカ? 」


 へへっと笑って…… それから言いにくそうにユーリの事をそう呼ぶイオ。

そう呼んでみて、 改めてユーリが誰かを思い出したみたいだ。 どう接したら良いのかと言うような戸惑いが見てとれた。 そのイオの様子に苦笑したユーリが助け船を出す。


 「言いにくいだろう? ユリアスでも良いぞ」


 「うえっ。 怒られねーの? それ。 にーちゃん、 偉いんだろ」


 ユーリが、 からかうような口調で言ったので、 普通のままで良いと腹をくくったらしいイオが冗談めかしてそう言う。 それから目をすがめるようにして、 怒られたりしないだろうな、 とユーリに確認をとるのも忘れない。


 「俺が良いって言えば問題ないだろ? 」


 普通はそう言われても、 身分を気にしてなかなかそう呼べないものだけど。

その点、 子供は素直で良い。 イオはあっさり納得した顔をして頷いた。


 「そっか? そうなのか…… じゃ、 じゃあユリアスにーちゃん…… でもいいか? 」


 ちょっと、 はにかむようにしてイオがいった。

孤児院のあの部屋の中では、 イオが一番年上のように見えたから『兄』 という存在に憧れていたのかもしれない。 


 「構わない。 それで、 どのあたりか教えて貰ってもいいか? 」


 新しい、 弟分にユーリも心なしか嬉しそうだ。 ユーリは嬉しそうにしながらも、 大まかな目的地をイオに聞く。


 「うん。 街の外の森」


 そうイオに言われて驚いた。 慌てて走りながら考えをめぐらす。


 「街の外? 街の外に出るには、 門衛の監視を抜けなけりゃ行けないのに…… どうやって? 」


 そうだ。 他領に行くにも、 王都の外の森に向かうにも門を通らなければ行けない。

そこでは、 門衛の確認を受ける。 

 何の理由で外に出るのか。 そして荷物があるならば、 何なのか確認をとられるはずだ。 幼い女の子を連れた…… あるいは荷物に忍ばせたとしても…… 門衛の目を逃れて外に出られるとは思えない……。 まさか…… そこにも内通者が……? 


 「出入り口はそこだけじゃないんだぜ、 リゼッタねーちゃん」


 ユーリと厳しい顔をしていたら、 得意気な顔のイオがそんな事を言った。

気がつけば、 民家はまばらだ。 どうやらカザルの端の方に来ていたらしい。 そのまま、 イオは城壁に向かって走る。 この辺は野原で人の目は少なそうだ。 ましてや早朝なら誰もいなかった。 

 イオが向かった大きなシレの樹の陰になってる位置の城壁に、 良く見れば一つだけ色違いの石が嵌っている。


 「ここだよ」


 イオがそう言って立ち止まった。


 「壁じゃないか…… 」


 ユーリが、 そう言って城壁を見上げる。 イオは色違いの石を奥に押すと、 その近くの壁を手で触りだした。 ユーリと二人、 黙ってその様子を伺う。


 「売られてく仲間の後をつけたんだ。 最初はカザルでやりとりしてたんだけどよ。 自警団の件とかがあってヤツラ外に移動したんだ。 その時に…… あったこれだ」


 色違いの石の左上の方にある石を一度押す。 その後、 その石が戻って来て…… シレの樹の真後ろに人が一人入れる位の穴が開く。 これが、 扉だったらしい。 


 「嘘だろ…… 俺ですらこんな仕掛け知らないぞ…… 」


 王城には隠し通路やら、 こう言った仕掛けがある訳だが…… 城壁とは言え、 ユーリが存在を知らないと言うのは問題だ。 もしかしたら陛下も知らないかもしれない。

 ―― この件が終わったら城壁全部を調べる事になるだろう。 


 「それより問題なのは、 連中が何でこんな所に仕掛けがあるのを知ってたか…… ですかね」


 「リゼッタねーちゃん達みたいな黒いフードに仮面付けた、 いかにも怪しいヤツが教えてた」


 怪しさ大爆発な格好だね。 院長や、 他の連中はこの通路を知らなかった訳だ。

開いた口を覗き込む。 左側に長く、 道が伸びていた。

 壁の中なので薄暗かったのだけど…… 一歩踏み込んでみて驚いた。 壁に取り付けられたランプの中にある灯石あかりいしが淡く発光したからだ。

 灯石もそうだけど、 石というのは使って行くと劣化する。 だから定期的に買い替えるんだけど…… この灯石には何重もの古代語のスペルが書きこまれていて、 長い時間の仕様に耐えられるようになっているようだった。 道の意匠からしてかなり古い物だと言う事も分かったが、 その仕掛けに驚きを隠せない。

 古い仕掛けが生きてる事も、 誰かがその存在を知ってた事にも。


 「次はこっち! 」


 イオが指をさして走り出す。 私達が中に入ると扉は音を立てて閉まったようだった。

周囲からは微かに淀んだカビの臭い。 けど、 不思議な事に通路には埃一つ落ちてない。


 「本当はさ…… 誰かに助けて欲しかったんだ。 俺達が孤児院に集められたのは売られる為だから」


 城壁の中を走りながら、 イオがぽつりとそんな事を言った。 ―― その表情は暗い。 


 「どういう事? 」


 私がそう声をかけると…… 少し逡巡した後、 イオが口を開いた。


 「あいつら、 街の女の子を攫う前は…… 俺達みたいな孤児を使ってたんだよ。 だけど、 仮面のヤツが…… 苦痛と、 不安? と恐怖とかがイマイチ足りないって言って…… 」


 思い出すようにしながら、 イオがそんな事を言う。 売られた子は男の子も女の子もいたそうだ。

苦痛、 不安、 恐怖…… 嫌な単語だ。 そんな物を必要とするなんてどんなヤツなんだろう。

 

 「攫う対象が変わったって事か? 」


 ユーリも厳しい顔でイオに聞き返す。


 「うん。 俺等は予備にするんだってさ。 んで、 そんな最終的に死なせちまうもんに金かけたくないだろ? だから、 食事とか死なない程度に世話されてたんだ」


 売られて行く子達の後をつけた時にそんな会話を聞いたらしい。

死なない程度。 その扱いに腹が立つ。 急がなけりゃ行けない状況でなかったら、 院長共を半殺しにしてやるところだ。 ただ、 気になったのは―― なんでそれを知ってイオは逃げなかったのか……。


 「何で逃げなかったのか聞いても良い? 」


 「逃げられないんだよ。 窓から出入りしてても何も咎められない。 あいつ等の後をつけても、 俺はまだ生きてる。 けど…… 何日も帰って来なかったり、 逃げようとしたヤツは必ず死ぬんだ。 泡吹いてのた打ち回ってさ。 変だろ? おかしいよな。 でもそうなんだよ」


 イオは絞り出すような声でそう言った。 最後の方はほとんど泣き声で立ち止まる。

私は、 イオを抱きよせると…… 小さい頃の弟達にしてやったように背中をぽんぽんと叩いた。


 「監視してる? でもそれじゃあ変だな…… 」


 痛ましげな顔をしながらも、 状況を確認するようにユーリが呟く。


 「…… 呪いの類かもしれないですね。 逃げる意志を持って行動した時に発動するような」


 世の中にはそういう力もある。 もちろん、 唾棄される類のものだ。 苦痛や恐怖を糧として人を傷つける―― もしも邪教であれば、 そう言う事を好みそうだ。


 「だからさ、 だからどうせ死ぬなら、 売られた後にどうなるかが知りたかったんだ。 それで、 アイツ等の後を付けた。 ―― 森の中の目だたない所にある岩に仕掛けがあって…… その奥が洞窟なんだ。 牢屋が沢山あって…… 女の子の泣き声が聞こえてた。 変な臭いがしててさ。 いろんな所に血が沢山こびり付いて…… 奥から悲鳴が聞こえたんだ。 誰のか分からないけど。 凄い声だった。 それで、 俺。 俺…… 怖くなって」


 早口でまくしたてるようにイオは言った。 仲間だったのに逃げたんだ。 そう言って、 イオは唇を引き結ぶ。 売られて行った子達を助けられなかった、 自分一人だけ逃げた事を後悔して恥じているようだった。 かたかたと震えているのはその時の恐怖をリアルに思い出したからかもしれない。


 「逃げて良かったんだよ。 イオがそのままそこに行ったら今、 私達はそこに案内して貰えて無い。 きっと犠牲者も、 もっと多くなったはずだよ」


 そう、 言い聞かせてイオの背中をさする。 だってどう考えても、 イオがどうにか出来たとは思えない。 きっと助けようとしたら、 殺されて終わりだったと思う。


 「俺、 チビ共に言えなかった…… みんな最後には殺されるって。 でも、 アイツ等に逆らったら、 死ぬのが早くなっちまう」


 唇を噛み締めてイオが言った。 私から離れて、 目元をぐいっと拭う。

 だから『我慢しろ。 外じゃ生きていけないんだ。 理不尽でも逆らうな―― あそこに売られたら殺される』 だったのだ……。 一人だけ、 真実を知ってしまったイオはどれだけ怖かったことだろう。

 自分の大切な仲間にも真実は言えず、 逃げる事も出来ず、 ただ…… 彼は耐え忍んだ。

怖くて逃げたと言ったけれど、 私の所に来て危ないと教えてくれて、 今私達をその怖ろしい場所に案内してくれている。 それには勇気が必要だったはずだ。 


 「誰かに助けて貰いたかったけど、 カザルの奴らは俺達みたいなのを嫌ってるし…… 自警団は…… 信用できないから…… 」


 再び走り出しながら、 イオはそう言って鼻を啜った。


 「院長の息子の事か? 」


 ユーリがそう言ってイオを見る。


 「知ってんの? 」


 「あぁ。 そいつもちゃんと捕まえる」


 驚いた声を出してイオがユーリを見た。 

ユーリが大きく頷くのを見て、 イオが嬉しそうな顔をした。

今までにない、 キラキラした目をして私達に笑顔を向ける。


 「そっかぁ…… へへ。 俺、 初めてキボウってやつが見えた気がする」


 それは、 産まれてこのかたイオが希望を持った事がないのだと言う事を示していた。

カザルは、 この子にとって…… いや、 孤児院にいたあの子達にとって希望とはかけ離れた場所だったのだろう。 そう考えると私の気持ちが沈む。


 「俺、 本当は騎士団も信用してなかったんだ。 巡回してた奴等はお高くとまって見えたし、 黒竜騎士団は、 その…… 評判悪かったし…… 」


 申し訳なさそうに、 イオが言う。

イオのチラチラとこちらを伺うような視線は、 おそらくは気まずいからだろう。


 「…… 面目ない」


 絞り出す様にユーリがそれだけ口に出す。

 通路の行き止まりでイオが再び立ち止まった。 イオは壁にあるランプを思い切り引っ張る。 そうすると、 今度も壁が開き外はもう森の中だった。 イオが躊躇いもせずに外にでると、 私達もそれに続く。


 「だからさ、 ユリアスにーちゃんが、 あんな汚れた所に膝なんかついて謝った時驚いたんだ。 多分、 皆もそうだよ…… だからごめんよ…… 俺さぁ…… 見た目とかで蔑まれる事が嫌なくせに、 そういう奴等と同じ事してたんだ…… 馬鹿だよなぁ。 だけど、 今は違うぜ? ユリアスにーちゃんと、 リゼッタねーちゃんは信じられる」


 少し照れくさそうにそう言って、 イオは鼻の頭をかいた。 

カザルの住人の一人であるイオにそう言って貰えた事に胸が暖かな気持ちを覚える。

 ユーリもとても嬉しそうだ。 

 イオにこう言って貰えたように、 少しずつカザルの他の人達にも信頼して貰える黒竜騎士団になりたいって私は強くそう思った。 おそらく、 ユーリもね。

 ここだよ、 と言ってイオが立ち止まったのは岩棚の傍だ。 その前にある岩の裏を弄ってそこにあった鎖を引く。 思ったよりも静かな音を立てて岩棚に入口が現われた―― その時――

 

 突然、 リィオからの呼びかけを感じる。 かなり慌てて私を探してるようだったので緊急事態でもあったのかと意識を繋いで誘導した。


 『リゼッ! 』


 バッサバサと大きな羽音を立ててリィオが私の左腕に止まる。


 「リィオ! 何かあったの」


 『ししょーから伝言。 『緊急事態につき、 使って良いぞ』 だって! クロ達もこっちに向かってるよ』


 あぁ。 師匠の許可が出たのか。 正直助かる。 戦力的にも、 機動力的にも半端ないし。

正直、 この事態はどうしたものかと思ってたんだよね。 もしかしたら事情が変わったしケイオス辺りが交渉してくれたのかも。 だとしたらありがたい。


 「助かる。 リィオはここに、ケイオス達を案内して。 それが終わったら、 師匠に伝言。 孤児院の子供達に呪いがかかってる可能性がある。 解呪できる人材を寄越して欲しいって」


 本気で助かったのでそうリィオに伝える。 それから、 師匠に伝言を頼んだ。 召喚術士の中には、 呪いの類に詳しいものと契約している者もいるから、 そのあたりを派遣して貰えれば孤児院の子供達にかけられたかもしれない呪いの有無も分かるだろう。


 『わかった。 まかせて! 』


 リィオは嬉しそうにそう言うと、 空へと高く舞い上がる。

ポカンとした顔をしたイオが、 それを見て叫んだ。

 

 「と、 鳥が喋った…… すっげー! 」


 見た感じ鷹にしか見えないリィオが喋った事に驚きが隠せないらしい…… しまった……。

ユーリ達が見てる前で堂々と会話しちゃったよ。


 「あーー、 団長、 イオ…… できればナイショにして貰えると嬉しいなぁ? なんて」


 えへっと笑って言って見た。 きらっきらした目のイオが尊敬の眼差しで私を見てる。 

何故だか心が痛い。


 「…… 無理だろう。 あの調子じゃあ、 ケイオスにも普通に話かけるだろうが」


 こちらは何故かまったく驚いてないユーリが、 呆れ顔でそう言った。

ユーリに言われてはたと気がつく。 ここで口止めした所で、 他の皆の前でケイオスと今と同じようなやり取りをされたら…… バレるよね? 意味ないじゃん。 


 「っ…… あぁ…… 」

 

 やるヤルやるよ。 リィオなら確実だ。 面倒事はゴメンだから田舎から出て来た一般人をしてきたのに…… 意味ないじゃん。 


 「諦めるんだな」


 ユーリの言葉に肩を落とす。 どうにもならない事を考えた所でしょうがない。 


 「…… えぇ。 もう腹は括りました。 とにかく先に進みましょう」


 しょうがない事に気を取られるより、 今は女の子達の救出が優先だ。

若干、 据わった目でユーリを見ながら私はそう言った。


 「俺も、 行きたい」


 横から、 真剣な目でイオがそう話す。


 「…… 」


 「俺、 前に逃げちまったから…… 今度は逃げたくないんだ」


 イオは無言のユーリに、 縋りつくようにして頼み込む。


 「イオ。 残念だが、 ここから先は連れてはいけない」


 気持ちは分かるが、 と前置きしてユーリがイオの肩に手を置いた。


 「なら! 」


 「何があるか分からないからね。 イオの気持ちも分からなくないけど、 イオを助けてあげる余裕はないかもしれないし。 イオを助けて、 他の子を助けられなかったら本末転倒でしょ? 」


 更に言いつのろうとしたイオを制して、 私は言葉を続けた。

中の様子は分からない上、 先に突入しようとしてるのは私とユーリだけだ。

 もちろん突入って言っても、 気配を消して様子を伺いながら…… だけどね。

イオはまだ子供だし、 訓練してる訳でもない。 私達と同じようには動けないだろう。


 「う…… ん…… 」


 気落ちした様子のイオの頭を撫でて、 私は笑顔で言葉を続けた。


 「だから、 私のお願い聞いてくれる? ここにうちの団員と、 白竜騎士団の人達がくるはずだからそうしたら入り方教えてあげて」


 リィオが案内してくれば、 入口の場所は分かるかもしれないけど、 開け方が分かるとも思えない。

ここを開きっぱなしにできれば良いんだけど、 万が一、 人身売買組織の奴等が後から来たら異常がありますと教えてるようなもんだ。 なので私達が入ったら、 イオには扉を閉めて貰う予定だ。

危険な中に入るよりも、 この辺に隠れてて貰って他の皆に入口を教えてやって貰った方が安全だろう。


 「分かった! 」


 強い意志を込めた目でイオが頷く。


 「あ! 後、 喋れる大きな狼達が来るから、 その子達にも同じようにしてくれる? …… 悪い奴等がここに来るかもしれないし、 ちゃんと隠れてるんだよ」


 ちょっと大きいけど怖くないからねって言ったらイオが大きく頷いた。

任せてと、 言うように胸をドンと叩く。


 「うん。 分かった! ユリアスにーちゃん、 リゼッタねーちゃん…… 捕まってる子達、 助けてやってくれよな! 」


 そうお願いされれば、 断るような事は出来ない。 イオの信頼に答えたいからね。

私達が中に入ったら、 入口を閉じて隠れているように念を押した後ユーリと一緒に一歩踏み出す。


 「了解! 行って来るね」


 私とユーリは、 イオに手を振ると岩棚にポカリと開いた暗闇の中に身を投じた。 

約束通り、 イオが扉を閉めたらしい。 一瞬、 真っ暗になると壁のランプに明りが灯る。

私達は気配を消すと、 足音を立てないようにしながら走りだした。

師匠のお陰でリィオ達も参戦か? 

リゼとユーリならその前に片がつきそうで怖い……。

次は黒フードの男が現れる予定です。


『不注意で世界が消失したので異世界で生きる事になりました。』 もこの後更新します!


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