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廃棄世界に祝福を。  作者: 蒼月 かなた
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廃棄世界ヴェルム

この世界の成りたちです。 ほぼ、 説明回となりました。

読みにくかったら済みません(汗)

 私達が今いるのは、 白竜騎士団の宿舎前。 第一分団には友人もいるから、 私自身はそんなに緊張していない。 今日は例の作戦の打ち合わせにやってきた。 知ってる人達ばかりではないから、 顔合わせでもあるんだけど。

 色々お願いしている立場なので、 打ち合わせ場所は白竜騎士団の会議室だ。

鍛錬してる白竜騎士団の人や、 それを見に来ているお嬢さん達からの視線が刺さる。

なんで、 ココに黒竜騎士団が? と。

 どうやら、 騎士団の中でも事情を知っている人は限られるようだ。

このまま、 視線に晒されるのは居心地が悪いので、 さっさと宿舎の玄関に入る事にする。 

そこでも、 通りかかった団員にギョッとされたのでもう苦笑するしかない。 


 さて、 ここでちょっとこの世界…… 国と騎士団、 領について説明したいと思う。

改めて言うと、 この世界の名は廃棄世界ヴェルム。

 廃棄世界の名の通り、 ココは神様達が作ったものでいらなくなった物、 失敗した物を捨てる所謂ゴミ捨て場として作られた世界だ。

 愛玩動物として作られて、 飽きられて捨てられた古代竜エンシェント・ドラゴンをはじめ、 暗黒物質の塊…… 流動する悪夢、 ナイトメアスライムなどが有名だ。


 その世界に賭けに負けてだとか、 騙されてだとか諸説色々あるものの――…… とにかく闘神ヴェルムとその一族が堕とされて来る。

ヴェルムは怒り荒れ狂いそして、 壊れた。

 怒りに我を忘れ、 同胞であった神を呪い…… そしてついには自分の子供達の事も分からなくなり殺し始めたのだ。

 そこで立ちあがったのが、 ヴェルムの子である闘神ヴェルガ。 自分の弟妹や一族を守るため父を殺す事を決意する。

 長い長い激しい戦闘の後、 ヴェルムは倒されその身体からこの世界の数々の浮遊大陸ができた。 両目は太陽と月になって――。 ヴェルガの行方は知れず、 死んだ…… とされている。

 ヴェルムの子…… ヴェルガの弟妹達は無事に生き残り、 神の名を捨て魔族を名乗った。


 それから、 多くの月日が経ち外の世界で十三人の神様達が自分達の血を使って十三の種族を作った。


 大虎族ルーヴェンシア 獅子族ディレンドラ 大狼族ウルファーレン 

 子兎族ラーレンジオ 小鼠族リルレンシャ 鷹高族ファーレンジア

 梟賢族エルレーン 強牛族ゴライゾン 羊礼族ファーレント

 熊闘族ガロンティア 蛇鱗族リュレジオ 万亀族グレイオス


 動物を模して作られた十二の種族。 そして最後に自分達の姿を模した種族を作ると、 神様達はその作った子等に誓いを求めた。 自分達の言う事を聞くように、 と。

他の種族は神様の言う事を聞くと誓約し、 私達の祖先は誓約に縛られるのは嫌だと言って神に従わぬと宣言した。


 呪われしジャルヴァ種族ナータ

 

 その時に神様達から私達の種族に与えられた名だ。 

で、 逆らうんならいらないんじゃない? と話がまとまりこの世界に落とされる事に。


 だけど、 捨てる神あれば拾う神もある。

 

 作られてすぐ捨てられる事となった事を憐れに思った幾人かの神様が私達のご先祖様に力をくれたのだ。


 地の力―― アースゲイド 水の力―― ウィンディア 火の力―― ファイオス 風の力―― ウィントスである。

 これらは、 主にそれぞれの自然を操る力だ。


 そして、 それ以上に欠かせないのが召喚の力―― ゲーティアと結界の力―― アウレーゼ。

アウレーゼは言わずとも、 この国を守る結界を張る力で国への魔物の侵入を防いでいる。 

ただし、 結界を張るには他の五つの力を持った者の協力が必要である。

 ゲーティアはそれぞれの力の補助の意味合いが強い。 属性の精霊や、 外界から呼び寄せた神獣あるいは魔獣と契約しその力を振るう。 

 過去に一度絶えたと思われた事のある一族で、 彼等がこの国に居なかった時に起こった魔物の大氾濫の時には結界が完全に張れず多くの死者をだした。

 幸い魔族の国に生き残りが発見されて、 その血脈が今のゲーティアに続いている。


 王国の名と、 それぞれの領の名はこの力の名から来ていて、 領主と国王の隠名かくりなという普段呼ばれない名としても使われている。 つまりその名を持つ者がその一族の長と言う訳だ。


 私の故郷でもあるアースゲイドは森や平原が多く農耕が盛んである。

領主に仕える騎士団は緑鹿ろっか

 ウィンディアは大きな湖の中に領がある。 盛んなものは漁業だ。 

領主に仕える騎士団は青狼せいろう

 ファイオスには山が多い。 鉄鉱が取れるので鍛冶が盛んだ。

領主に仕える騎士団は赤虎せっこ

 ウィントスは泉や風の吹き抜ける洞窟が多い。 その中に生じる宝玉が有名で、 宝石の細工が有名だ。

領主に仕える騎士団は紫鷹しおう

 ゲーティアはだだっ広い野原が多く、 有名なのは酪農と、 騎竜の調教テイム

領主に仕える騎士団は白竜。


 そして黒竜騎士団だけ王家直属。 これは王に兄弟がいた場合に他領の騎士団の旗下に入れないために設立された騎士団だ。 なのでここだけ王家直属。

と、言う訳で現在王都に宿舎を持っているこれらの騎士団は、 領主の命で王都に出向しているという状態になる。

 そんな王都の端には五門がある。 その先には銀鎖にも使われている金属、 エタナリウムが使用された巨大な鎖が王都から伸びて各領まで続いていく。 

 その上には道があり徒歩で三日、 馬車で大体一日半で他領に行ける寸法だ。

エタナリウムは、 人の中に存在する魔力…… オドに反応する。 

 例えば私の銀鎖。 私のオドに慣れさせていくと鎖にオドを通せば自由自在に空中でも操れる。

王都から伸びるエタナリウムの鎖は王が結界を張る力を通すパイプラインだ。

 ちなみに、 裕福な商人や騎士団のように特別許可証を持っていると、 精霊門と呼ばれる門が使える。

コレは各領の精霊門と繋がっていて一瞬で他領に行ける代物である。 

この辺はゲーティアの召喚術を転用したもので、 使う事ができればとても便利。

 鎖の上の道…… 鎖路くさりじは結界が無いから、 行くと魔物に襲われる可能性があるからね。

なので鎖路を行く人達は護衛を雇う事が多い。


 さて、 騎士団の話に戻ろう。 それぞれの騎士団が巡回の担当を持っている地区だ。

 貴族の住む地区シェイレ……ここは白竜騎士団が担当している。 

 商人や、 下級貴族の住む地区レイルには紫鷹騎士団。 

 職人に、 平民の多い地区フスクは緑鹿騎士団。 

 服飾店、 菓子店が多い地区ポンムが青狼騎士団。  

 宿屋、 飲み屋が多い地区ガイレには赤虎騎士団。 

 最後に娼館、 賭場が多い地区カザルが本来は黒竜騎士団の担当だ。

 黒竜騎士団以外の騎士団宿舎は担当の地区にそれぞれ存在している。


 まぁ、 多いというだけで絶対にそう言う人が住んでますって訳ではないけどね。

元々、 カザルはその特性から騎士団に対して閉鎖的な地区だった。 けれど先代の団長であるエイス様はその閉鎖的なカザルの人々の信頼を勝ち得ていたと言う。 一緒に酒を飲み交わし、 エイさんと呼ばれ親しまれていた。 

 カザルの人々にとってエイス様は、 王弟でもなく騎士団の団長でもなくただ友であったのだろう。

だからなのかエイス様がいた頃は、 随分と治安も良かったらしい。 友達に迷惑はかけたくないもんね。

 けれど、 そのエイス団長が死んで…… 後を継いだユーリはカザルに認めて貰う事ができなかった。

だからこそ、 ユーリはカザルに拘るのだろうと思う。


 白竜騎士団の受付にいた団員さんに会議室まで案内して貰う事になった。

ユーリにルドさんとエイノさんは比較的落ち着いて堂々としてるんだけど、 他がちょっと挙動不審だ。

多分緊張してるんだと思うんだけど、 特にヴァイさんがキョロキョロしてて落ち着きがない。

そんなに見回さなくても騎士団宿舎自体はうちと同じなんだけど……。


 「私は今回の事情を伺ってます。 こうして、 黒竜騎士団の方達にお会いできて嬉しいですよ。 ―― 昔の騎士団の姿、 忘れられるものではありません。 陰ながら応援しています」


 案内してくれたのは第三分団の分団長さん。 がっしりした体型の髭のおじさんだ。 ぱっと見はこわもてだが、 笑顔になると途端に人懐っこくなる。 

分団長さん曰く、 幼いころの憧れだったそうだ。 黒竜騎士団は。

こう言ってくれる人はとても貴重だと思う。 憧れてくれていた人の大半は黒竜騎士団に諦めという感情しか持っていないからだ。

 その言葉が嬉しかったのだろう、 うちの団員達の背筋が伸びる。


 「有難うございます。 残念ながら、 そう言って下さる方は中々いらっしゃらないので…… 」


 「まぁ、 特に若い人の中だと黒竜騎士団の雄姿を知らない者も多くなりましたからね。 仕方が無い所もありますね。 私の世代であれば、 黒竜騎士団に憧れて騎士を目指した者が大半なので…… 失礼ながら歯がゆく思っていた者が多いのです」


 ユーリがそうお礼を言った後、 分団長さんが苦笑しながら続ける。

 私が言った諦められてるって事は見捨てられてるようなものだ。 ユーリが分団長さんに答える口調がいつもより丁寧だったのは嬉しかったからかもしれない。


 「さて、 会議室はこちらです。 ……では」


 そう言って立ち去ろうとする分団長さんを私は思わず呼びとめた。


 「有難うございました。 案内頂いた事もそうですが、 応援して下さると言って下さった事もです。 私達にとってその一言はとても心強いもの…… 感謝します」


 私がそう言ったのは、 うちの団員達の目に『希望』 のようなものが灯ったからだ。

見捨てられたような状況の中、 少しずつ変化が起きているとは言えまだ世間の目は厳しい。 

そんな中、 温かい言葉をかけられて心に響く物があったのだろう。

 だからこそ、 私はこの人に感謝するのだ。 この心に響いた言葉はきっと私達の忘れえぬしるべになる。


 「いいえ。 そう思わせてくれたのは今の貴方がたですよ」


 そう笑顔で答えて分団長さんは去って行った。 その背に自然と敬礼する。 気付けば皆が同じ事をしていた。 感謝とはこうして自然と出るものなのかもしれない。


 分団長さんが去った後、 暫くしてユーリが会議室をノックする。


 『どうぞ』


 ケイオスの答える声がした。 その言葉にユーリがそっと扉を開ける――。

 

 

元ネタは『召喚されて来てみれば』 からでした。 神話の中にジャルヴァナ―タという言葉が出て来ます。 書いてた時に、 ジャルヴァナータはどうしてるんだろう? そう思ったのがこの話を考える切っ掛けとなりました。 白竜騎士団、 さわりしか出せず……。 次回はちゃんと出します(汗) 

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