そいつは妹です
僕は男(ホモ疑惑)の家から朝帰りした。
字面は怪しいが、未だ疑惑の域を出ていないので全然セーフ。僕セーフ。
すると玄関の扉を開けた音に反応したのか、パタパタと足音がして、リビングのドアから家族がひょこりと顔を出した。
「お兄ちゃんおかえりー」
寝起きのぽんやりとした声で言われて、ただいまと返しながら顔を向ける。
美少女、パジャマ姿。
思わずドキっとする。
どうしたのー?と小首をかしげる姿はなんともあざといが、多分男の大半はときめかずにはいられないだろう。僕も彼女がやったらときめくこと請け合いだが、残念ながら目の前の少女は僕の妹だ。妹にはときめかない。不意打ちでドキッとはするが。
まったく 、心臓に悪い肉親だぜ。
「お兄ちゃん朝帰りなんて、むふふ、不良だねー」
妹は首を傾けたまま拳を口に当てて不穏な笑みを浮かべる。ちなみに萌え袖プラス。
「きっと盗んだバイクで走り出したり煙草すぱすぱ吸ったりしたんだなーいけないんだー」
「残念ながら僕はバイクを盗んでないし、煙草を吸っても合法の年齢です。」
妹はまだ高校生である。発想が幼いというか、可愛らしいというか。
「じゃあなにしてたの?」
不思議そうに今度は逆の方向に首をかしげて問う妹。
「友達の家に泊まってきた。」
言うと途端、妹は顔を赤くする。
「お兄ちゃん、朝から妹にそういうこと言わないでよ。」
どうやら思春期らしい発想で勘違いしてしまったようだ。ここは妹に恥ずかしい思いをさせないためにも善き兄としてそういうことだと流してあげようとも思ったが……あわあわと慌てる妹に若干悪戯心が沸く。
「ん?なにがいけないのかな。僕はただ男の友達と泊まったっていう話をしただけなんだけどな。」
ニヤリとして言うと、妹はさらに顔を赤くした。
「お、お兄ちゃんが男の人と一夜を!」
「なんでそうなるんだ!」