ただの同級生です
男(猫背)に誘われて合コンに参加していた僕だったんだけど、
目を開くと、知らない天井。
「……………………ん?」
眠気でしぱしぱとする目を瞬かせ、僕は混乱しつつも天井をぼんやりと見つめた。うん、知らない天井だ。普段天井なんて凝視しないけども、少なくとも僕の天井には猫の写真は貼ってなかった。
頭痛いし、知らない天井じゃなければ二度寝でもしたいくらいなんだけど、そうもいかないので寝返りをうって隣を見る。
「…………………………おお。」
男(猫背)が布団を被って丸まっていた。
いや同じベッドの上じゃないよ。
猫背の方はソファーだから。
これで同じベッドの上にいたら、僕はコイツのホモ疑惑を確信へと深めていたかもしれない。
ゆっくりと体を起こし、ガンガンとする頭を押さえながらキョロキョロと辺りを見回す。コイツが居る時点でなんとなく、ここは男(ホモ疑惑)の部屋じゃないかとあたりはついていたが。そして、目の前をもっふりとした物体が通りすぎたことによってそれは確定した。
「おーい、ミケジロウ。」
もっふりとした物体こと男の愛猫ミケジロウに声をかける。ちなみに三毛猫ではない。目付きの悪い錆び猫だ。
呼ばれたミケジロウがすりよって来た。人懐こいやつだな。すりと指の部分へ額を寄せてくる。僕と違って接客業に向いてそうな奴だと思った。
猫をベッドにあげても良かったのだろうか、と今さら思ったがもふりとした毛並みの感覚にどうでも良くなった。
ミケジロウが体に乗り上げてきて鳴いた。それなりの大音量。
「ごはーんって言った?」
実際はオアーンと言った具合だったが、なんとなくそう聞くことができた。ミケジロウは人語を解するのか我が意を得たりとばかりに今度はにゃんにゃんと鳴いた。賢いなお前、と素直な賛辞と共に額を人差し指でくすぐってやった。
ミケジロウを抱き上げる。そしてベッドから降りて未だソファーで丸まっている男へと向いた。動くと脳がぐわりと動く感覚がするんだけど、これはやっぱ二日酔いか。
「おい、ご飯だってさ。」
ミケジロウを抱えていて両手が塞がっているので、やむなく足で男の肩を揺り動かす。男はうんともすんとも言わずに寝ている。お前の主人はかなり寝ぼすけだな、とミケジロウに言うと、にゃあーんと相槌を打った。