私がいないと困るくせに
「ふざけんなよ! どこだよ? どこいったんだよ!?」
君はいつだってそう。自分のだらしなさを棚に上げてさ。馬鹿みたい。
私の事を蹴るからよ。絶対に許さないから。
「ちくしょう! どこだよ! くそっ!」
部屋の中をウロウロ歩き回る姿は、檻の中の熊みたいよ。
普段から私の事を大切にしないから罰が当たったのよ。
私がいないと困るくせに。
「困ったな。頼むよ! 出てきてくれよ!」
馬鹿なヤツ。私の事がそんなに必要なら、もっと大事にしてよ。
毎日毎日、私の身体を弄ぶだけ弄んで。
そんなに私が大切なら、紐でもつけておけば良いのに。
「くそ! もう時間が無い! 仕方ないか」
君はそうやって、すぐに諦める。悪い癖だよ。
あ、それは違う!
「うわ! これ音量スイッチか! くそ! リモコン無いと不便だわ……」