エピソード 4年目の誓い2
目の前でシオンちゃんがミノタウロスを食い止めているあいだに攻撃を再開しよう。炎に強いってことは氷系が有効かな?
「アイス・ジャベリン!」
弱点の氷系魔法の”氷の投げ槍”を放つとミノタウロスの胸に突き刺さった、というか突き抜けちゃった、氷に弱っ!
「今のはナイス!やるじゃないか。」
珍しくシオンちゃんが褒めてきたわ、なんだかむず痒い。
「こ、このくらい当たり前よ。」
「でもなんで、1人?」
「ううっ。」
……言えないじゃない、あんたを驚かすというか、喜んでもらうためなんて。
「わ、私一人の実力上げに他の者を連れて来るなんて、しょっ職権乱用だわ。」
「なら冒険者なんかで前衛を雇ったら。命あってのものだねだよ。それに……」
「それに?」
「それに私はアイナの友達だよ、頼ってくれてもいいじゃないか!」
と、友達……
「ウルサイわね!とにかく!助けてくれて、お、お礼だけは言ってあげるわ!」
「はあ、とにかく今度から一人でいかないでよね。」
その少し悲しそうな声に、シオンちゃんの本音を感じてズキンときた。彼の誰も失いたくないという思いを私は知っている。
……まだ、引きずっているんだ。
気まずい沈黙が訪れている。なんか、会話をそらす必要があるななんて考えていると私の精霊が何かを伝えてきた。私の守護精霊のトゥルーアイは非会話型の精霊なので言語っぽく語りかけてくることはないけど伝えたいことは明確にわかるの。
今、進化したって!
私の中にいる精霊がより強い存在に生まれ変わったのがハッキリ認識できるわ!そして待望のオリジナルスペルがまた増えたみたい!使い方は過去の文献を調べてわかっている。では使って見ましょう!
「トゥルーアイ!」
これは相手の情報を知ることのできる魔法。常時発動型で魔力を込めれば込めるほど知りたいことがわかるのだ。
たとえばそこに倒れているミノタウロスに視点を合わせてミノタウロスのことを知りたいと思うと、状態が死亡であること、炎に耐性があること、逆に水や氷に弱いことがわかったわ。かなり便利ね!シオンちゃんに自慢しよう(笑)
「あっ、そうだ。」
そう言って私はシオンちゃんと彼の守護妖精シークレットガールに視線を向ける。
「ん?魔法使ってる?目がいつもと違う色だよ。」
「えーとね、状態は微警戒、魔力は……多過ぎてよくわかんない。」
「それって、あのオリジナルスペル!」
「そう、精霊トゥルーアイの命名の元になったオリジナルレア魔法”トゥルーアイ”よ。それでねぇ、シークレットガールは……全部ナイショって……全然わかんないし!」
「ナイショ、ナイショ、ナイショナノ
。ノゾキミチュウイ!アイナデナケレバ、アタマコワシテル。」
「あはは、ゴメン。」
「イイヨ、モウコワレテルミタイダシ♪」
むかっ!まあ、”秘密少女”の秘密を暴こうとすれば怒るのも当然よね。出来ればシオンちゃんを”見つけられなくなる魔法”の秘密を知りたかったけど。
「それ、帰ったらラピス様に使ってくれる?」
「もちろんよ。」
「そうか、そのために実力上げをしていたんだね、気付かなくてゴメンよ。」
「うっ、まっ、まあ、そうよ。」
「じゃあすぐに帰ろう!」
「ひょへぇ!」
ちょっ!イキナリお姫様抱っこされてしまった!小さいくせに力持ちなんだから!それに、ちっ!近い!私がテンパっちゃうじゃない!
そんな私にま~ったく気づく様子もなくシオンちゃんは私を抱いたまま空高く舞い上がったわ。




