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41話 パルス家の醜態

皆様、ありがとうございます。

時間があったので。

どうぞ(^-^)/



ラピス様は隣りに座った私を軽く抱擁しながら、静かに話し始めました。


「前々回の北伐ではいつもと同じように我が王国の軍はカルナック高原にて北向きに展開して魔物達と戦いました。中央に王国軍、左翼、右翼に貴族連合軍。パルス子爵家の一門からなるパルス軍は左翼の西端に展開した、これはわかるわね。」

「はい。そして騎兵の有利な平地に呼び込むかたちで戦線を維持。そこでいつもなら魔物の数が減るまでそこで戦い続けるはず。しかし、パルス軍は魔物が有利な山岳地帯まで突出して返り討ちにあったと聞いてます。若い父上は最後尾を任されていたおかげで辛くも逃げ延びたと言っていました。」

「そう、ここでアイロネの魔法使いが5人亡くなっています。」

「はい……。」


その中にアイロネの指導者の1人ヘルメス長老の息子さんもいたはずです。


「5人とも1級の魔法使い。アイロネでも若手最高の実力者達で次期長老はこの5人で確定しているとまで言われた人達だったそうよ。この5人はアイロネの魔法使いの地位向上をうたった改革を推し進めていて現職の長老達を上回る尊敬を集めていたみたいね。特に現長老のヘルメス氏の息子でベルガーという人は途轍もないカリスマ性を持っていたと言われているわ。」


人気があったことはなんとなく知っていましたが、そこまでとは知りませんでした。


「そこまで、だったんですか。」

「ええ、そうよ。当時、”アイロネ”に成ったばかりのアイロネ様がベルガー氏と自分の娘との婚姻を薦めなかったのは”アイロネ様の最大の失敗”とまで言われているのよ、知らなかったでしょう。」

「……知りませんでした。」

「当時すでに”十魔(とうま)の魔女”とまで言われた規格外の魔力保有者、あなたの母親コルネリアには最高にふさわしい相手だと周りじゅうから言われていたそうよ。」

「……。」

「そのベルガー達がパルス前子爵の采配ミスで死に、彼らに賛同していた多くの魔法使い達がサージュに移籍したの。今のアイロネが衰退しサージュに追い抜かれた原因よ。今、アイロネ様がアイロネ様であり続ける理由は”その尻拭い”のため。誰も代わりが見つからなかったから、お辛いでしょうにね。」

「……。」

「そして一番嫌な噂があってね。死んだ5人のうち、たった一人だけ遺体が見つかっていて、この者の身体にはパルス子爵の剣が突き刺さっていたそうよ。この情報は緘口令を引かれているので知っているものはごくわずかだけど、何処かから漏れて隠れたところで噂になっているわ。」


ラピス様は私の反応を探るように言葉を止めて見つめます。


みんな、私に隠す訳です。

みんな、私に冷たかったわけです。

お祖母様も、ミスティ教官も答えてくれなかった訳です。

ただ、おかげでこの現実を受け入れられる歳になりました。

それだけの時間をくれた皆様に、思いやりを込めて頂いた皆様に感謝です。


「お爺様がその人を殺したところを見た人はいないのですか?」

「いないわ。だからそのことについては王家からのお咎めは一切ないわ。」

「残りの4人は?」

「憶測でしょうけど、魔物に食べられたと言われているわ。」

「前回の北伐はなぜ醜態とまで言われているのです?功績は残せなかったけど無難に切り抜けたと聞いています。」

「そうね、そういう見方もあるわ。でも、大きく人数を減らしたパルス軍に代わって他の貴族軍へ今まで以上に負担がかかっていたことは事実よ。それにコルネリアが奮闘してパルス家に被害が少なかったこともマイナスに働いているわね。」


確かに、ここまでくるとパルス家が問題視されるのも分かります。もっとも誰か悪い人が今いるとは思えません。私たちの世代でこの悪環は断たなければなりません。


「前々回の北伐で、なぜお爺様は突出したのでしょう?」

「さあ、そればかりは知り様がないわ。でも、前パルス子爵は王国でも一二を争う戦士だったと聞いているから。魔法使いの援護が余りにも良すぎて戦況を見誤ったと言われているけどね。」

「それは聞いています。でも、父上はその話を信じていませんでした。私が聞いた限りでは、お爺様は判断能力が高かったと感じているのでどうしても納得いかないのですが?」

「そう、ではその辺りの情報を集めておいてあげましょう。噂ではアイロネの傭兵団の中には生き残った者がいたと。」


アイロネの傭兵団とは北伐中に”魔法使いの護衛”専門に雇われた冒険者たちのことを言います。ずいぶん昔の話である以上、情報が得られる確率は低いと思います。

それでも調べてくれる、ラピス様には感謝です。


「お願いします。」

「その代わり、明日(・・)からの北伐が終わるまで私の命令に絶対に従ってね。」

「え?」

「まだ情報は抑えられているけど、魔物核(モンスター・コア)のジュエル化が始まったわ。」

「ジュエル化!」


ジュエル化とは、魔物の身体の中にある核といわれる石が宝石に変わることを言います。このときモンスターは大量発生すると言われています。しかも能力3倍で。このジュエルは皮肉にも北伐後の戦費補完、つまり収入になっています。



北からの脅威は、真近に迫っているようです。



ラピスが諜報機関のトップであることはなんとなく分かりますか?


ここまでで、一旦区切りをつけます。

感想をいただけたらとても嬉しいです。


次回から北伐編の予定で12月1日7時に投稿します(^-^)/

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